scene002 願いと現実 in デスオール ■第一実験場 (先程の大きな部屋に戻ってきた主人公。ブランウォング博士が気付き、振り向く) ブランウォング「〈ん、〉戻ったか」 (主人公に近付く博士の助手ローゼン) ローゼン「仕事だ。 博士達とサイレントとの対話を取り持ちなさい」 ???「嗚呼!」 □サイレント(水晶体)の前に立ち、其方に両腕を伸ばして手の平を向ける主人公。目を閉じると開始、音や光のような効果が出る ブランウォング(或いは博士ABC)「第一問。君は何処に居る?」 サイレント〈……地核〉 ???「……地核。でも星の記憶は見えない。 だから違うのかも……」 ブランウォング「第二問。音素の種類を知っているか?」 サイレント〈地、水、風……〉 ???「地、水、風、火、光、闇、音。 七つ目の音素は二千年前に発見された〈七つ目のフォニムは二千年前に〉」 ブランウォング「第三問。君はどうして死んだ?」 (ドクン、と鼓動のような音を出すサイレント。同時に出た波動が主人公を通過。髪の毛がほどける) (周辺機械、画面のデータ表示などが急変化していく) ???「……レムの塔で。 大量の第七音素と超振動を使って障気を消した。それで……」 (動くブランウォング) ブランウォング「結構。 君の正体が分かった」 (瞬くサイレント?) サイレント〈……〉 ブランウォング「新暦2018年に出現し徘徊したと言われるレプリカ・ヒューマだ。 自分達の国家建設を条件に数千人(or一万人)が障気の中和の為に犠牲に成ったという史実と一致する」 サイレント〈レプリカ達の国……〉 ???「レプリカ達の国……一体どうなったんだ? 実現したのかな……」 ブランウォング「マルクト・キムラスカ間の国境線の一部を領土として与えられている。 キムラスカの現王妃がその土地の元領主と交渉して生まれた小国家だ。 名前は確かコーラル国」 サイレント〈嗚呼……〉 ???「嗚呼……。そうか」 (間) ブランウォング「結構。 それではこのまま君とセカンドナンバーの強制消去を開始する」 サイレント〈――え!?〉 ???「――え!?」 (サイレントと主人公、同時に声をあげる) (動く研究者達、動じないブランウォングと助手) 「ブランウォング博士……!」 ブランウォング「君は招かれざる客のようだ。 悪いが居座られる訳にはいかないのでな」 「本気ですか!?」 ブランウォング「我々は『サイレント』の製作に失敗した。 これは事実だ。 彼は我々の求めた状態とは違う」 (動くブランウォング、機械を扱う研究者などを向いて) ブランウォング「ただちに音子集積装置を解除しろ」 「はっ」 ブランウォング「記録情報はのちほど資料室の演算器へ送っておくように」 「はい」 (返事をして動く各研究者達。サイレントから背を向け歩き出すブランウォングと助手) サイレント〈……〉 □各機械を操作する研究者達。瞬きのような事を続ける?サイレント 「あーあ、やっぱり処分かぁ……」 「勿体ねぇ」 「何でレプリカの幽霊なんかが入り込んじまったんだ?」 「三年余りの研究がパアだぜ……」 (間) サイレント〈ウルサイ〉 (急変化する画面の表示) □その体勢のままで叫ぶ主人公、足を止めるブランウォングと助手 ???「俺は生きてきたんだよっ! お前らにどう思われようが!!」 (「!」と振り向くブランウォング達) ブランウォング「何だ?」 (騒ぐ研究者) 「第一音素増量!」 「解除した筈の力場が再び音譜力を集めています!」 (中心部の輝いている?サイレントと叫ぶ主人公) ???「俺は生きていたかったんだ! ただ本当にそれだけで…… それだけで良かったんだよっ!!」 (間。瞬く?サイレント) サイレント〈――――……〉 □轟音と共に振動を始める室内。慌てふためく研究者達 「FOSの引力上昇!」 「闇系音子発生…… キャアッ」 (機械が小爆発を起こし、台詞が途中で悲鳴に成る女性研究者) (それらの様子を見ているブランウォングや助手。その間にも発生する火花や炎など) 「所長! 退避命令を」 「サイレントが暴走しています!」 (間。サイレントの方を向くブランウォング) ブランウォング「聞いた通りだ! 死に損ない! お前がどれだけの未練を残してこの世に踏み止まらんとしているのかは知らないが……」 (近くの鉄棒などを掴み、サイレントに向かって構えるブランウォング) ブランウォング「こちらもむざむざと殺される訳にはいかぬ! 大人しく静まれ! さもなくば今 消滅させる!!」 サイレント〈――!〉 ???「――!」 (息を呑む主人公。動揺するサイレント) サイレント〈――違ウ〉 ???「……違う。 殺すつもりなんてない! 俺は……。ただ…… 俺は……」 □振動の収まった部屋。あちこちが壊れ、研究者達が倒れたり座り込んだりしている ???「……すまない。 こんな事をするつもりじゃなかった」 ブランウォング「しかし君の処分は変わらない。 死ぬ覚悟を決めるまでの時間をくれてやるとしか言えないな」 ???「……」 (手を降ろし、まぶたを開けて辺りに目を向ける主人公。サイレントは沈黙) (プレイヤーの操作開始) 【FC:サイレント暴走】 ▼機械のそばの研究者 「さっきので計器が破損した。 もっと続いていたらと思うとゾッとするな」 ▼「音素は生命の源でもある。 吸い取られて皆 貧血のような状態に成っているようだ」 ▼ブランウォング「君と居るとサイレントは外部との相干渉状態に成る。 面倒だが処分は別々に執り行う事にしよう」 ▼サイレント □再び両手を出して目を閉じる主人公。瞬きを開始するサイレント (フィィィ……と効果音開始。光の粒のようなものが機械や倒れた研究者達に発生) (機械のそば、「!」と驚く研究者) 「破損した部分が……」 (光を浴び、目を開ける研究者達) 「……何だ?」 「温かい……」 「音素が戻ってくる……?」 (間。立ち上がる研究者達、それを見て「ふむ」と呟くブランウォング) (ブランウォングの見るモニターの画面に文章が表示されていく) サイレント〈力はある程度制御が可能です〉 サイレント〈ちゃんと訓練はしていたんだ! もう暴走(orこんな事)はしない……だから……〉 (間。画面からサイレントに目を向けるブランウォング) ブランウォング「いいだろう」 (瞬くサイレント?) ブランウォング「サイレント及びセカンドナンバーの消去処分は中止。 音子集積装置発動。 FOSの調整を急げ」 (「はっ」と答える研究者。背を向けて歩き出すブランウォングと、主人公&サイレントを向き声を掛ける助手ローゼン) ローゼン「命拾いしたな。 しかし君の存在を維持する為の音機関には常に莫大な燃料が掛かっている」 サイレント〈……〉 ローゼン「現実的にコストが無くなったら譜業装置は止めざるを得ない。 何時そうなってもいいよう 改めて心の準備はしておく事だ」 サイレント〈……〉 (ゆっくりとサイレントから手を離す主人公。僅かな間ののち画面フェードアウト)scene003 人間型 in デスオール □少し時間が経った後の同じ場所(第一実験場)。ミリアンジュ博士と預言士ホールが来ている (主人公の髪を結んだミリアンジュ博士) ミリアンジュ「成程 大変な騒ぎだったようだな」 (女性研究者)「ええ」 ミリアンジュ「この分では実験場に居た殆どの人間のデータを取らなければならないか……」 (何故か張り切った感じで言う男性研究者(の一人)) (男性研究者)「宜しくお願いします!!」 ミリアンジュ「君は異常が無さそうだ」 (ガクリ、と項垂れる男性研究者。歩いて周囲の様子を見回るミリアンジュ) (間。主人公を見ていたホールがミリアンジュの方を向く) ホール「ミリアンジュ博士」 (振り向いたミリアンジュ) ホール「少年の……、フェイクの様子が」 (戻ってくるミリアンジュ) ミリアンジュ「〈嗚呼〉元がサイレントと同じだからな。 さっきの件で中身が統合して自我を失ったのかも……」 (両手で主人公のホッペをむにっ、と引っ張るミリアンジュ) ???「ひゃひふんはほ」 (不機嫌に成って「何すんだよ」の意味の台詞を言う主人公) ミリアンジュ「……嗚呼。 それほどのものではないな」 (手を離すミリアンジュ) ミリアンジュ「どうだ気分は?」 (ボーっとした顔に戻る主人公) ???「……良く分かんない。 頭ん中色々すり抜けてった感じ……」 (「ふむ」と主人公を見続けるミリアンジュ) (動くホール、ミリアンジュを見る) ホール「……博士。 彼を診て上げて下さい もしかしたら……」 ミリアンジュ「無理だ。先にこちらのデータの収集をしなければな」 ホール「ではその後に……」 ミリアンジュ「悪いが必要とは思えない」 (間。動くミリアンジュ) ミリアンジュ「そのフェイクは君を助け サイレントを中和させる為の 補助装置のようなものだ。 君の同位体として生命活動さえしていればいい筈」 ホール「そんな……!」 ミリアンジュ「元々まだ人間型フェイクを作る段階では無かったのだ。 何か在っても技術的に手の打ちようが無い」 ホール「……」 (顔をしかめているホールと突っ立っている主人公) (動くミリアンジュや研究者達。画面フェードアウト) (画面転換後プレイヤー操作可能に??) 【FC:心配】 ▽または▼ワルハラの扉(何処かの部屋??) ???「あ、そうだ……」 (壁に付いた小さな画面を向く主人公) ???「ワルハラ! 手帳とペン出せるか?」 ワルハラ(液晶?画面)「Wait a minute.」 (画面一度フェードアウト) □数分後。ガチャッ、と壁に付いた小さな扉が開く ワルハラ「Please.」 (取り出す主人公。再び閉じられる扉) notice:日記帳入手 ※以降、メニュー画面のライブラリで「あらすじ」が利用可能に 【日記】scene004 デスオールの日々 in デスオール □第一実験場。サイレントに手を伸ばして立つ主人公とその後ろの研究者達。 主人公は目を閉じ接続効果の光や音などが発生中 ブランウォング「第一問。 君は何処に存在する?」 サイレント〈……〉 ???「……」 ブランウォング「前回、君は地核と答えた。 その根拠は何だ? 君にその死生観を植え付けたのは――……」 (画面徐々にフェードアウト) □演算器の画面表示を見ている研究者達 「……変化在りません。 この情報は間違いなくサイレントのものです」 ブランウォング「分かっている。……彼は異物ではない」 (間) ブランウォング「構成情報に問題は無い。 不可解だがそれを認めるしかあるまい」 サイレント〈……?〉 □質問を終えサイレントと主人公から離れて行く研究者達。見送る主人公 サイレント〈――何なんだろう。 話を聞くと言うより反応を見て記録を取ってたって感じだけど〉 ???(よく分かんねぇよ) (間、少し考える主人公) ???「……、サイレントは知りたいのか?」 (文章を表示するモニターの画面) サイレント〈ん……まぁ、でも〉 ???「じゃ、聞いてくる!」 (駆け出す主人公。画面転換後プレイヤー操作可能に) □廊下 【FC:ブランウォングの居場所】 ■観測室 ▼ブランウォング「サイレントが? ……ふむ いいだろう 直接行って話そう」 □第一実験場、サイレントの前 ブランウォング「君が何処に居るかという質問……。 我々に言わせれば答えは此処目の前だ。 半径約数十メートルに及ぶ巨大な結晶質の振動体 その中央部分に君と思しき人影が見える 肉眼では分かり辛いが生命反応は確かに在る」 ???「閉じ込められてる……って事か」 (モニターの画面に表示される文章) サイレント〈道理で動けない訳だ〉 ブランウォング(または別の博士?)「いや、生命反応が在るのはこの結晶体そのものだ」 サイレント〈……?〉 (「?」とハテナマークの吹き出しを出す主人公) ブランウォング「我々の見ているこの結晶質の物体全てが、君の新しい『器』に成るという訳だ。 ……第一音子フェイク・ファーストナンバー。 第七音素に違いは無いが、以前の君を構成していた音素と元素とは、別の音素と元素で構成されている」 「音素を構成する音素の構成が可能に成った。それがフェイクフォミクリーの僥倖なんだ」 「仮説通り、意識記憶の再生は音基配列に沿った超微粒子振動が行う、っていう事も証明されたしね」 「そうそう。今までは正確な記録情報が採取出来なかったけれど、…………」 サイレント〈……。分からん〉 ブランウォング「予想では沈黙の音子の構成体は金属か譜石に似た結晶であると思われていた。 だが異物が入り込んだならば当然起こる筈の情報変化が今まで全く観測されていない」 サイレント〈……? それって……〉 ブランウォング「つまり理論上では君は間違いなくサイレントという事だ。 音素振動数にも間違いはない」 サイレント〈音素振動数……〉 ブランウォング「そうだ。 君が異物ならば発生する筈の振動が全く無い。 君は完璧なサイレントだ」 サイレント〈……〉 ブランウォング「こちらとしても戸惑っている。 君の事は暫く地道に観測していくしかないな」 サイレント〈……〉 (室外へ出て行くブランウォング) (見送る主人公) サイレント〈ちょっとつまんねぇ〉 ???(そうか?) サイレント〈結構 一世一代のつもりで頼み込んでたんだけどな〉 ???「……」 (考え込む主人公) ???(何か……はぐらかされた?) サイレント〈分からない……〉 ???「完璧とか間違いなくとか言っている割には何か嫌そうな感じ」 サイレント〈……〉 (瞬く?サイレント。モニターの画面に文章) サイレント〈やっぱり俺、生きてちゃいけないのかな〉 (間) サイレント〈出来れば素直に眠りに就きたい。 だけど……。けれど〉 (入ってきて大声を上げるホール) ホール「フェイク!」 (振り向く主人公。近付いてくるホール) ホール「戻るのが遅いと思ったら……。 仕事が済んだらすぐにサイレントから離れるよう言っていたでしょう!」 (主人公をサイレントから引き離すホール。一旦沈黙するサイレント) (サイレントに片腕を伸ばし手の平を向けるホール。接続効果の音や光など再び) ホール「サイレント。 貴方も貴方だ! 全く……」 (反論のように瞬くサイレント。モニターの画面に文章) Annoying! I'm not to blame.〈し、仕方ねぇだろ!?〉 I have nochoice, have nothing〈そいつとアンタぐらいしか〉/but contact you and him.〈俺には話す相手も居ないんだ〉 ホール「……貴方の境遇は察します。 でもこの子を貴方が聞き話しする為の道具には出来ない」 サイレント〈……〉 ホール「貴方が彼の製作前身物である事は聞いています。 元同位素体として同じ性格・記憶を持っているのかも知れない でも 彼は彼だ! 貴方ではない」 サイレント〈……分かってる〉 (瞬くサイレント) サイレント〈俺は俺だ……。そいつはそいつなんだ〉 (間) サイレント〈なぁ、もっと言わせてくれ 俺は此処に居る ココニイルンダヨ〉 ホール「……」 (画面フェードアウト) □医療室。ベッドで寝かされているホールと呆れた様子で動くミリアンジュ。椅子に座って?見ている主人公 ミリアンジュ「……甘いな君も。譜力を消費するという事は知っているだろう。 そのまま三時間もサイレントと話をする奴が在るか!」 ※FOS外部での時間。ホールの体感時間では数十分以下 ホール「……。 悪い人ではないんですよ。 ただ少し生への執着が強いだけで」 ミリアンジュ「幽霊だろうが」 ホール「でも既に新しい肉体なのでしょう? それならもう生まれ変わったと言っても……」 ミリアンジュ「……」 ???「ブランウォング博士も同じ事言ってた! ファーストナンバーの体は以前とは別の音素と元素とで構成されているって」 ミリアンジュ「…………」 (間。口調が諭すような感じに成るミリアンジュ博士) ミリアンジュ「サイレントの情報量は惑星預言にも匹敵する。 同情だけで身を削るな。 順番で言えばサイレントの充足より君の命だ」 (画面フェードアウト、その後プレイヤー操作可能に) □ 【FC:やるべき事】 ■植物園 ▼ケール・アランドルフ「キシキシキシ ……見舞いか。 花でも持っていかんかね?」 ■音機関工房 (前回同様 奥には行けない。ただ聞こえてくる音が変わっている)scene005 最初の約束 in デスオール ■第一実験場 ▼サイレント □接続中の主人公。モニターに文章を表示させるサイレント I done.〈……そうか〉 サイレント〈自分でも分かってるんだけどな、ホントは存在なんかしてちゃいけないって〉 ???「……」 At least,〈……せめて、この真っ黒で身動き出来ない状態さえ何とかなれば……〉 ???「……? 外に出たいって事か?」 サイレント〈そうだなぁ〉 サイレント〈そしたら素直に地核でも音譜帯でも行くんだけど〉 ???「……」 ???「分かった」 (間) ???「俺 サイレントを解放する。 サイレントを助ける」 サイレント〈――え?〉 ???「……自由にする。約束」 (間。主人公の手の平、接続の効果音や光の粒) ???「俺とサイレントとの……。約束」 サイレント〈お前……〉 (瞬くサイレント) サイレント〈……有難う。お前がそう言ってくれるだけで充分だ〉 (柔らかく光と音を出すサイレント。水晶の体全体が輝く?) サイレント〈……もう何も要らない。お前に俺の知っている全てを教えてやる。 ……それがきっと、これから俺の生きた証に成る――……〉 (光の中、体が透けていく?主人公。同時に画面フェードアウト) |