とっぷ壊殻の海ノ物語遊戯王BrowsingU


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#094.プログラムとウィルス

p.1 【2018.9.29.Sat.】
『歴史は繰り返し続けている 「未来」で覇王龍ズァークが時空を引き裂き
 今となっては過去でもある「現在」で アーク・ファイブがそれを統合する

 それよりも「過去」の時間帯において… 4枚のカードがそれぞれの次元から 他の召喚方法を消している
 転生したズァークは時の順行に従い 時空を元に戻す気ではあった …その後でどうなるかは不明だがな』

「現在は… 四つに分かれる力と一つにしようとする力 両方が存在している状態なのですよね?」
『そうだ 「ズァーク」は一つに戻ったが 時空間は分裂している』

p.2 
「……

 ズァークは… 一つに成ったと言うよりも 人間とモンスターとに分離して
 『モンスター』としては 大量に増えた状態ですね」

『カードとして… か』
「――ええ」
『だがマスタープログラム自体は一つだろう しかも 我々の知っているソレではない』

「まぁ…」
『オリジナル・ズァークの存在は やはり榊遊矢の持つ4体のドラゴンに分離した
 そのモンスタープログラムこそが 奴の現状だと言っていい』

p.3 
「オッドアイズ・ドラゴン スターヴ・ヴェノム・ドラゴン クリアウィング・ドラゴン ダーク・リベリオン・ドラゴン
 決闘者デュエリストズァークと合体した モンスターとしての『覇王龍ズァーク』の元の姿ですね  サイズ的に随分 差が在ったような気がしますが オリジナル・ズァークもオブジェクト的には張りボテだったと言う事ですか?」 いや…『ドラゴン達が持つ 全てのプログラムの総集体だったのだ あの姿でも小さかったかも知れないな  システム処理の為の最低限サイズと言った処か』 p.4  「――?」 『ズァークは… 覇王龍は実体映像技術リアルソリッドビジョンによって生み出された CGオブジェクト・プログラム  ――であると同時に 自己演算能力を持っている  生きたプログラム… 箱の無いコンピューター・システム・ソフト 分かり易く言えば そういう状態の怪物だ  ネットワークの大半が奴の支配下に置かれた』 「ネットワーク…?」 『DMの関連コンピューター・システム』 「嗚呼」 『当然ながら全世界中に張り巡らされていた』 p.5  「――! それをズァークが支配した!? そんな事をしたら…」 『奴は世界を滅ぼし掛けた 世界は覇王龍ズァークによって 最期の時を迎えようとしていたと 以前 話した筈だがな』 「……」 『私がRSVリアルソリッドビジョンをDMに応用しようとしていた時 当然だが召喚処理・制御プログラムの再製作も必要になった』 「まぁ…」 『その完成には最低限 1体ずつのモンスターを必要とし  最終的にはそのモンスターたち自体が召喚システムに必要不可欠な状態と成った』 p.6  「召喚処理プログラム… もしかして四つの」 『そうだ それらは4体のドラゴンのモンスター・データ・プログラムと それぞれ一体化した状態だった  作り直す事が出来なかった訳ではないが… 当時はそんな七面倒臭い事は考えなかったな  一刻も早く実際のデュエルシステムで試したかったし… 成功したらしたで そのまま実用化に走ったから』  システムの再製作なんて無理だった 『結果として… ズァークに その召喚プログラムを根こそぎ持っていかれる事になった』 「…」 『全ての召喚処理・制御システム・プログラムの集合体だったのだからな 当然だが奴の居ない処では…  モンスターの召喚自体が出来なくなった』 p.7  「! モンスターの召喚が出来ない…!?」 『勿論 RSVシステムに限っての事だったとは思うがな SVはもう 殆ど使用されていなかったし  ベーシック共々 調べる余裕など無かったから実際は知らん.  私は… 各召喚方法のプログラムとモンスター達のプログラムを分離するウィルス・プログラムを開発した  そのウィルス達に 自然界から集めたエネルギーを注ぎ込む事で… 物質化し 4枚のカードとして具現化させたのだ 『ウィルス・プログラムだから… 4枚のカードの力には 人口生命体のような側面も在る 自力で自己増殖を繰り返すのだ  そしてその効果範囲を広げる』 p.8  「効果範囲?」 『勿論… 各召喚方法の力を無効化する効果の範囲だ』 「……」 『それらは時間の巻き戻りと共に過去に向かい 其処に出来るSV粒子と反応して…  「効果」のみを持つ質量粒子として各次元時空で増殖し続けた』 「――! だから… 世界から他の召喚方法が失われ 復活しそうになった召喚も 何時の間にか消え続けていた…?」 『――そうだ  ズァークが次元を四つに引き裂いたと言うのも在るが 恐らくそれは最初のキッカケのようなものだ  奴自身は いずれ裂いた世界を一つに戻すツモリが在った それを防いでいたのが4枚の魔法カードの力』 p.9  『覇王龍ズァークが自力で世界を一つの次元に戻したとして…  それが「空間」として どれだけ正常に戻っていたかどうかは怪しい  今の世界は分裂と統合を中途半端に繰り返している状態だ だがそれを言えば「未来」の世界そのものが  タイムトラベルによって半分 分解しているような状態だった』 「半分… 分解?」 『地球の歴史そのものと 個々人の持つ時間流がとっくに分離していたのだ  ついでに言えば現在の暦も もう 使われていなかった』 p.10  「……」 『「地球」の歴史… 惑星や土地が持つ「時空間」は当然 正常に順行しているのだがな  個人・個体が持っている歴史… その因果の時間流は 過去に行ったり未来に行ったりと 複雑に動かされていた  その細い時間流が 何億在ったかなど 見当も付かない 取り敢えず異常だとは思わなかったからな…  一定以上「過去」に戻る者は居なかったし』 「…… 一定以上… 『タイムトラベル』が発明・実用化される以前の時間帯ですね  それ以上は行けないと言う仮説を聞いた読んだ事が在ります」 p.11  『そうだ… 其処に干渉しようとした人間が居なかったという訳でもないのだがな  「犯罪者」としては かなりありふれたケースなので… つまり成功例が在ったかどうかは覚えていない』 「…」 『時空警察スペースタイムポリスには 一度捕まったような気もするが… 基本的に私の専門外だったから …余り興味が湧かなかったな』 「そう言えば… 貴方の書庫には 経営術やDMや脳科学や機械や量子だコンピューターだ 諸々の中に…  幾何学図形や空間・時間…『次元』に関する内容の物も在りましたね  当然のように『時間移動』や『宇宙』に関する書籍も混じっていた」 p.12  『そうだな… 片っ端からお前が読んで要点をまとめてくれたから あの当時は 随分 助かったぞ  私一人では読み切れる量ではなかったし』 「……」 『前にも言ったが… 私は一時期 自分が誰なのか 分からなかった 何故か「未来」の知識が在る…  と言うより 身の回りの物が「過去」の時代の物であるという事を知っていた  その謎を解く為に… 手掛りになりそうな資料を集めた ついでにRSV研究の為に必要な書籍も  会社の運営や土地資産の関係だの… ともかく多岐に渡ったな』 p.13  「――ええ 実家の書庫に 今でも置いてありますよ 当時は何も知らなかったから  単に読書好きの自分の為に 本を買ってくれているとか そんな風にしか考えてはいませんですたが」 『そうだな お前の為でもあり 私自身の為でもあった あの頃はお前も可愛かったが』 「……  振り返ってみれば… 貴方の行動には その頃から奇妙な点が在りましたね」 『そうか?』 「お土産のお菓子が何故か一人分 多かったり 僕に女の子向けの服やオモチャを買ってきたり」 p.14  『そうだな…』まぁ『服と言ってもサイズは分からなかったから 冬用のコートとかオーバーとか その程度ではなかったかな?』 「真っピンクで誰が着るのかと思いましたよ  …… 恐らくは… レイの記憶が無意識下に在ったという事なのでしょうが ただ  レイを探し始めるより先に…  世界が四つの次元に分裂し分かれている事 それを貴方は既に知っていたような口振りでしたね」 『嗚呼… 順番だけを言えば レイより先にズァークの事を思い出した』 「……」 『ただそれと… 世界が四つに分かれている事とは スグには結び付かなかったな 似たような奴が居たなと思った程度で』 p.15  「似たような奴… ズァークにですか?」 『そうだ』 「…… 名前とかなど思い出せますか?」 『ディムリー・ウェスト 芸名だったな 本名は知らん』 「――嗚呼」 『無茶なパフォーマンスで大怪我を負った男だ 嘘つきディムとも呼ばれたな  奴のせいで… Aデュエルは一時期 存亡の危機に追い込まれた マスコミが必要以上に騒ぎ立てたからな  当時の苦労はお前も覚えているだろう』 p.16  「ええ… 父さんより 遊勝さんの方が大変だった気もしますが」 『……』 「そのディムのパフォーマンスが ズァークのそれに似ていたと?」 『ズァークだけではない… 奴を真似て過激なデュエルに走った他のデュエリスト  そして奴が重傷を負わせたデュエリストを… 何と言うか 全体的に思い出させる男だった』 「――と言うか 単純に大怪我をした者同士 事故だか事件だかで 記憶が結び付いたのでは?」 p.17  『かも知れんな… ディムの事は確かれきりだったと思うが 私の頭にはディムに似たデュエリスト…  つまりズァークの存在が引っ掛かっていたのだ 確実に思い出すのは それから何年も後になるのだが』 「……」 『私がスタンダード次元で気が付いた時 当たり前だが スグにはそういう世界であるとは気付かなかった  其処は… 在る処には融合・シンクロ・エクシーズの存在がちゃんッと在ったのだ だが何故か私の周りでは  それらの召喚方法を行おうとする者は居なかった』 p.18  『初期のデュエルディスクにも… EXデッキ用のスロットが付いていた事は知っているな?』 「――ええ」 『当時は融合デッキと言ったか やろうと思えば「融合召喚」を行う事は出来たのだ  だが… 奇妙な事に「融合召喚」を行う者と スタンダードな召喚方法を行う者たちとでは 住んでいる土地が離れていた  いや 段々 離れていった  初めのうちは… そういうグループで 街のデュエリスト達が 派閥にでも分かれているのかと思ったがな  気が付くと「融合召喚」のグループ自体が居なかった 風の噂に全員 Dアカデミアに進学したと後で知った』 p.19  「…… デュエルアカデミア…」 嗚呼『其処は 外部から隔絶された空間に在った 大会の中にポツンとある島だ  だが特に誰も「異世界」とはとして考え捉えてなかった』私もな. 『彼処はデュエリストの育成所…』実際『スタンダードな召喚法だけを身に付けている者よりは  融合召喚も身に付けている者の方が プロ指向も強いと判断されている …その程度の認識だった  二つの世界に特別 壁が在るとは思わなかった  奇妙に思い出したのは… 舞網市に来てからだな 彼処にはスタンダードな召喚法しか無かった  他の土地にはエクシーズ召喚やシンクロ召喚が在るのに』 p.20  「舞網市…? 私が生まれた頃ですよね あの頃はまだ『舞網市』ではなかったそうですが」 『――いや? 私が「舞網市」に着いた時… お前は既に三つか四つぐらいだったと思うぞ』 「確かに… 『舞網町』その他が『舞網市』に合併したのは 私がそのくらいだったらしいですが  貴方が『舞網市』の土地に来たのは…」 p.21  「……」 『ゼロ・リバースの直後だった 或いはまだ ただ中だったと言うべきか 世界中が混乱していた  私はゼロ・リバースの直前に… ネオ童実野シティを離れ 隣の土地へと移っていった』勿論お前達も連れてな 『だが其処も被害に巻き込まれそうだったので… 更に避難し「舞網市」まで辿り着いた』 p.22  「『ネオ童実野シティ』…? 『童実野町』が『ネオ童実野シティ』に成ったのは 確かゼロ・リバースの後…」 『――さぁな 十数年以上も前の話だ 私の記憶が正しいとは限らない』 「……」 『ただ… そう あの「ゼロ・リバース」の直後から 「世界」が奇妙に分かれたようだ 何かが分断されたような感覚が在った』 p.23  「……」  ゼロ・リバースが起こる以前のネオ童実野シティは シンクロ召喚が流行の中心に成ってはいたが  それでも その召喚方法だけと言う程ではなかった 『其処にはまだ スタンダードと融合・エクシーズの召喚法が在ったのだ  だがゼロ・リバースから何年か経って その土地を訪れた時…  其処からは融合・エクシーズに関する情報やカードの存在が消えていた』 「……」 『「スタンダード」は半分残っている状態だったな どの道「通常召喚」が出来なければ…  シンクロ召喚の素材用のモンスターを揃える事は難しいから』 p.24  「スタンダード次元の世界とシンクロ次元は 部分的に繋がっている… そういう事ですか?」 『――嗚呼』 「ではエクシーズ次元の世界も…」 『理論的にはその筈だったが 実際を言えば エクシーズ次元は全く異次元の世界に在った  それ気付くより先に 私は三つの世界のうち 二つを行き来している状態だった』 「…… 舞網市とネオ童実野シティ?」 『そうだ 単純に仕事の為の行き来だったがな』 p.25  『だが何故か… 舞網市はスタンダードな召喚方法が中心で』のち Aデュエル 『ネオ童実野シティはシンクロ召喚とライディングデュエルが流行っている状態だった』
p.25b 
『他の者は何故だとか思っていないようだったので 私も初めは単なる偶然だろうと気に留めずに居た』
『風の噂に… 海馬瀬人社長やDアカデミア出身のデュエリスト達は 「融合召喚」を操る者だと聞いていたな  だが直接 ネオ童実野シティで会った事は無い  ――と 言うか 「ゼロ・リバース」の後における時間帯に存在する方の海馬瀬人社長には 未だに直接会った事が無いのだ』 「えっ?」 『何っ時も代理を通されてな… この間 会ったのも それより以前だったようだし』 p.26  「海馬Coの社長が… ゼロ・リバースから行方不明!?」 『行方不明とは言ってない 私の前には姿を現した事が無いと言うだけだ』 「…」 『元々 私は下っ端だったし… 海馬Coを離れた身で そのトップである社長が軽々しく会ってくれる筈もない  最初はそう思っていた』 「…」
『だがしかし 突き詰めて考えるとおかしかった
 私個人の前に姿を現さないだけならともかく…
 テレビや新聞にも一切顔を見せない状態になっていたからな
『だがそうだな 突き詰めて考えるとおかしい
 私個人の前に姿を現さないだけならともかく…
 テレビや新聞にも一切顔を見せない状態になって久しい
 お前はどうだ 見た事在るか?』 p.27  「いえ… 言われてみれば 全く噂ばかりの方で 『舞網市』において彼の写真や映像を見た試しは在りませんね…  ――と 言うか」 『――そう 「舞網市」の新聞その他は 他の召喚法に関する情報を一切掲載しなかった』 「……」 『Aデュエルが大流行ブームになり始めた一方で 融合・シンクロ・エクシーズの情報は 全く 取り上げられていなかった  ルールブックには在ったから… 全く完全に消えていた訳ではなかったのだがな しかし殆どの者たちは  アドバンス召喚と儀式召喚以外に上級召喚が在る事を… 何時の間にか忘れていた』 p.28  「…… 一応 儀式召喚も在ったのですね それに関する召喚処理プログラムは作らなかったので?」 『プログラム自体は作ったが システム的に言って 他のプログラムから一部分ずつをコピーして  繋ぎ合わせてちょっと手直しする程度で良かったのでからな それ専用にモンスターを用意する必要性は無かったのだ  コピープログラムだったから… やはりズァークに支配されて 使えなくなってしまったのだが』 「……」 『リンクは前に話した通り無かった かつては在ったのか 「今」の歴史で初めて出現したものであるのかは 分からない』 p.29  『お前達は… 私が今居るDアカデミアより「未来」の時代に居るそうだが  実際の処 私が「Dアカデミア」を訪れる事が出来たのは 他の融合次元を回り… 同志たちを集めていたからに他ならない』  私の事を覚えている者 ズァークの事を覚えている者が… 向こうから私にアクセスしてきたのだ  正直ズァークが世界を滅ぼそうとしたと言う事は… その者たちの話で知った 『私自身が その当時未来の記憶を取り戻したのは その後だ だから 最初に話を聞いた時には…』 少なからず『あの時のお前と似たような反応を示していたな』 「……」 p.30  『その頃から… 「融合召喚」を使う者たちは「融合次元」  「シンクロ召喚」を好むデュエリスト達を「シンクロ次元」に居ると判断・区別してはいたのだが』 しかし『特定の場所を差す通称ではなかった グループとか傾向とか その程度の意味しか無かった』 実際『「次元」という言葉を使う程ではなかったのだ しかし「融合召喚を使うグループ」とか  「シンクロ召喚が流行っている土地地方」だとか いちいち そんな表現をするのは 七面倒臭いではないか』 「――まぁ 略称みたいなものだったとは聞いた覚えが在ります」 『――うむ だから 最初のうちは「世界」は繋がっていたのだ エクシーズ次元以外はな』 p.31  「……」  ゼロ・リバースによって失われた世界 それがエクシーズ次元ではないかと 私はある時期から仮説を立てるようになった  それを見付けて どうこうする気は 特に無かったのだがな… あの当時はまだ レイの事を思い出して居なかった  ただの好奇心だったと言っていい 研究中だったRSVの更なる可能性を求めて p.32  『私は… RSVが見せた その可能性に狂喜したが …程なく思い出してしまった あの悪魔の事を  私が作り出してしまった恐怖を』 「……」 p.33   私は自分自身の記憶を取り戻そうに在る謎を解き明かそうとはしていたが 心の何処かで その全てを取り戻す事を 恐れていた  忘れたい… 閉じ込めていたい 何かが在るのを 薄々感じ取っていたのだ 『その思いが覇王龍ズァークと共にレイ記憶最期封じ込め忘れさせていたのだろう  しかし私は思い出してしまった 思い出した以上は レイの安否を考えずにはいられなかった』
p.33b 
「自分が生きているのならばレイも… そう考えるようになった事は聞きました」
『…うむ』
『一方で… 同志たちはズァークと戦う準備を着々と進めていたようだ 誰がどういう経緯で話を着けたのかは知らないが  海馬瀬人社長が計画中だったデュエリスト養成所を 戦士養成達の育成所として 提供してくれる事になったのだ』 p.34  『私は… 未来におけるその組織の出身でも在ったから それを知っている誰かによって推薦を受けたようだ  海馬社長が私に其処の責任者に成れと言ってきた』 それが…「Dアカデミア?」 『そうだ』 「しかし Dアカデミアは…」 『――嗚呼 Dアカデミアは何年も前に完成して 既に多くのプロデュエリスト達を輩出している筈だった』 p.35  『奇妙だとは思ったが… 一度も行った事が無かったのでな 念の為にレイの手掛かりが無いかどうかを確認しに行ったのだ  何も無ければアカデミアへの就任の話は断るツモリだったで居た』 「そしてしかし其処で セレナを見付けた 貴方の事だ… Dアカデミアに対する奇妙な印象と疑問は忘れて  彼女セレナを調べ レイを復活させる事の方に没頭していったのでしょう」 『嫌味だな… まぁ その通りだった 目標が定まった以上は 他の事は後回しで 私はレイの復活に全力を注いだ』 「家庭まで投げるな」 p.36  『まぁ… 何にせよ その頃からズレていたと言う訳だ (D)アカデミアと舞網市の「時間」はな』 「……」  【9.30.Sun.】 『当時は気にもしていなかったが… いや今も余り気を揉んでいるとは言えないが 「時間の巻き戻り」が起こっている  そして「歴史」がズレつつある』 「そう…ですね どちらかの記憶違いでないのなら 貴方と私の居る世界は歴史自体が異なっている  僅かながらに情報の違う… 並行世界パラレルワールドという事ですか」 p.37  『かも知れんな 未来の世界でもよく在った タイムトラベルによって 情報に差異の生じる事が』 「……」 『「時間の巻き戻り」とは言ったが… それは覇王龍ズァークが引き起こした次元分裂の… その一部分の事象に過ぎない  恐らく奴は 現在・過去・未来… そして異次元世界の四つに 時空を分裂させたのだ  或いは4枚のカードが そうなるように 仕向けたか』 「……」  初めの内は デュエリスト達がその召喚方法で集団グループ分けされているのかと思ったが  段々と… その範囲や規模が土地や社会と成り やがては時空間そのものに達した p.38  「こういう規模や範囲の段階的変化の事も… 理論的には「次元の移動・変動」に当たる 実際にはもう少し…  極端な差が開いた状態を「次元が違う」と表現するかな」 「……」 『その意味で言えば… 「次元が異なる」と言うのは「対等でない」と言う意味だ  極端に大きものと小さもの 埋める事の出来ない程の差が在って初めて「違う次元」と称される  「次元分裂」の事を… 私がう 「次元」という言葉で表現していなかった頃は  「世界」はまだ「 四つの『次元』」に分かれているとは言い難かった …言葉とは恐ろしいものだな』 p.39  『「世界」は… 正確に言えば 順行する時間と逆行・減速している時間  その逆の加速している時間と静止する時間の4種の状態に分かれている これは物理学的に言って 簡単な事だ  この4分裂は元々 宇宙の事象として起こっていた 覇王龍ズァークは自らを分裂させる事によって… その事象に拍車を掛けた』  元々 奴は 4体のドラゴンの集合体 その1体ずつに 再び 自意識と言うべきモノでも持たせれば  再び4体と成り 四つの方向性に分散させる事は難しくなかった p.40  『勿論 1度一つに成ったものが… 無条件に再び四つに成るという訳ではないがな  ズァーク自身や4枚のカードによるシステム制限やプログラムの影響も在る  結果的に言って ドラゴン達は 質量粒子の寿命が切れ… 「エネルギー」の状態に戻った』  その四つのエネルギーが その時 どの方向に向かったのか(と言う事)は問題ではない  ただ凄まじい量のエネルギーが 別々の方向性を以って 四つの方向に移動したと言う事実のみが重要なのだ  「空間」を移動するエネルギーは… 当たり前だが 大気中の元素・粒子・物質にぶつかる  軽い物ならそれらを運んで移動させる  「衝突」によって 押され動かされた粒子や物質は また別のモノにぶつかって 移動させる p.41  「エネルギーは… 複数の物質にぶつかる事で勢いを減じ 分散されていくが 『物質』が引き継ぐ連鎖運動は止まらない…  やがては『空間』の全てに広がっていく」 『そうだ 物質衝突によるエネルギーの再発生も含みながら やがては「地球」全体をも動かす  人類が気付く事の出来ないレベルでゆっくりと』  動かされた粒子や物質・エネルギーの状態によって 「連鎖運動」の中で順行・加速・減速・静止の四つの事象が起こってくる  それぞれが無限に繰り返される結果… 惑星自体の「空間」が 四つの「時間」に分かれてく p.42  「……」 『「次元分裂」は 元々 召喚方法による「世界」の分裂を意味していたから その意味で言えば「時分裂」とは別の事象だ』 「……」 『だが… 異なる事象ながらも それらは複雑に絡み合い 相互関係を持ったかのように…  「世界」は今 それぞれの召喚方法とその時空間とで分かれている』 p.43  『その事自体で… 特に大きな問題性は感じない 不安定だが 現状 誰が困っている様子も無いしな』 「アンタが現在いえに居ない問題が在るわ!!」 『…夏には帰ると言っているだろう 未来ではタイムトラベルなど当たり前だと』 『…… 気になると言えば 4体のドラゴン達が持つ召喚処理プログラムと それを除去するウィルス・プログラムの存在だな』 p.44  『どちらも… とっくに分解されて 消滅していると思うのだが  あのウィルスが入ると その召喚方法が使用できなくなってしまう  正常なDMのシステム・ネットワークにとっては天敵の一つだ』 「確かに… 人工生命ウィルスですから 自己増殖や再生能力も在る訳だ ワクチンソフトは?」 『作っている筈が無いだろう 作るにしても そのウィルスを発見する方が先だ』 まぁ…「そのような事態が起こり得ない事自体を祈りましょう」 『うむ』 「召喚プログラムとそのモンスター達に関しては…」 『――嗚呼』 p.45  『別のネットワークに入れ込んだ例が無いから その場合の事は分からないが…  あのプログラムはつまり そのモンスターがネットワーク内に居ないと 担当する召喚方法が使えないと言うモノだ  モンスターの居る場所自体はデータベースでも誰かのDディスクの中でもいい  作った時は 私の研究室のコンピューターの中のコピー・モンスター・プログラムだったが…  「システム」に入れ込んだ時に モンスターのマスターデータ・プログラム上書きされてしまった  この召喚プログラムは… システム内においてコピー または他のモンスターが その召喚準備を始めると  処理プログラムのみコピーされて データ転送されて 現場でコマンドを実行する… と言うものだ』 p.46  『モンスター自体は元々在ったカードを使った 普通に量産されていたカードの筈だから…  偶然とは言え ズァークがそれらを集める事は そう難しくなかったと思う』 「……」 『沢山のモンスター達を召喚する基本モデルだったからな 誰も持ってないような珍しいカードを使う訳にはいかなかった  だが上級モンスターでもあったからな』それ相応のカードを選んだ筈だ 『だが… 何枚かは友人に借りたカードじゃなかったかな 何枚かはそのモンスターに合わせて召喚プログラムを作ったが  何枚かはある程度プログラムを作った処で 後からモンスターを選んだと思う』 p.47  『過去… いや現在のDMのシステム・ネットワークには 別の者が作った召喚処理プログラムの方が使われている  私が作ったアレは入っていないと思うのだが』 「モンスター自体は… 現在でも存在しているカードですから そのデータを見れば…  モンスターが召喚プログラムと一体であるかどうか 分かりますか?」 『…恐らくな 仮に入り込んでいるとしたら… 海馬Coの中央コンピューターに在る マスターデータに上書きされている筈だ』 p.48  「自動でですか…? それはそれで何だか 人工生命みたいですね」 『他のモンスター達へのコピー処理が行い易いようにな ズァークのような事や例のウィルス・プログラムが無い限り…  問題は起こらないと思うが』 「四つの召喚処理プログラム… 不具合の例は」 『だから 先例が無いと言っている  同じ目的で作られてはいるが… 言語や命令文コマンド が一致しているとは限らんのだ  どちらかにどちらかが上書きされる…という偶然は かなり在り得ないと思うのだが』 だったら(この世界のは) 例のウィルスにも 消されないのでは だとイイな ======================================== p.1  下線部:…間接的に、とイウ意味で。  実際には三種のモンスターを無力化する状況・力場(フィールド)を生み出していて、  結果論的にそうでない場=各召喚の次元を作り出す一助となっている。 p.3  3体のモンスターの名前をソレゾレ変えるか、  歴史改変で名称が変わった設定にスるか(汗/保留)★  なお この辺りの設定は、#090を書いてた時期には マダ全然 考えてなかった p.4  下線部:なんか鈍いので「!」でも可 p.8  …最後の台詞は零王の仮説であって、実際は 自分さえ元に戻れれば「世界」はドウでも良かっただろうな ズァークは p.9  フト思ったけど、  アニメでの次元統合状態(138話頃)は各次元の街が浮遊大陸状態で一見メチャクチャに見えたけど、  零王の居た世界(126話)には宙に浮いてる土地と建物が幾つも在ったりして、  ツマリ零王の感覚にはソッチが『正常』だとシたら……  (たら、このページの後半は真逆の見方からの話になるンだけれど) p.11  多次元、異次元……★  「次元」とイウ言葉自体は一種の単位・略語のようなモノで(#034 p.31)、  単体で使うのは本来おかしいと言うか何と言うか  (零児も分かってて言ってるンだろうけど) p.17  零王は「スタンダード」と呼ぶんだっけ??  (けど、後のページを見る限りはコノママの方が良さそう) p.19  此処での指向は志向かも知れない★ p.19、20  下線部:舞網市に戻ってから、かもなんだけど変えたら他も変ワリそうなので保留★  (零王の過去は(この辺書いた時は)童実野から舞網市に来た設定だったのを、   (後で)先に遊勝と出会って、一度 童実野に行ってマタ舞網市にって事にしたから。    なお零王自身が次元・時空移動で(自覚なく)過去改変を繰り返している状態なので、    その意味ではドッチの歴史も在り、って事にはなる(けどヤヤコシイかも)) p.22  …実際にはゼロ・リバースは「ネオ童実野シティ」で起こったらしいンだけど、  ハッキリそうなのかどうかの確認は取れてない。  取り敢えず零王の返事はボカさせたりして(汗) p.32  零王の記憶:一時に一気に思い出した訳ではなく、アニメで言ってたように少しずつ  アニメ見直すに、(覇王龍)ズァークの姿などは自分の脳から取り出した記憶から知った模様  (時間帯的には此処で言うエクシーズ次元発見より前と言う設定)  ソッチの研究とRSVの研究と、まぁ交互(≒並行状態)でやってたト p.34  後で出て来るけど、(「一つの世界」での)零王の過去は 歴史によってパターンが違ウ。  原稿の※は其の目印。  …公式や後で出て来る設定と、合わなくなるようだったら修正★





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