p.1
「…… ただいまー」
「お帰り 陣君… …… なぁに その箱?」
「例のゲーム 暫く家で使っていいって」
「そう… …思ったより大きいのね」最近のゲーム機にしては
あっ ヘッドセットの分
「…内部にエネルギー発生装置が内蔵してある為です 重いですが 電気代などの費用は一切 掛かりません」
あ「そう」
p.2
「不具合が在りましたら レオ・Coの方にお問い合わせ下さい では我々はこれで」
「――はい」
有難うございますー
「――貴方 例のゲーム機 陣君が持って帰ってきたわよ」
「…そうか」
「治るといいわね デュエル障害」
「…… ……」
…
p.3
「陣君 凄い! まさか Dスタジアムで デュエルが出来るだなんて」
「ハハ… 負けちゃいましたけどね」
「何 言ってるの… 腕 痛んでない?」
「ベーシックデュエルで 痛む理由は無いだろう」
系です 父さん
「もう 貴方ったら そんな言い方」
p.4
「…母さん 明日お昼 要らないから」
「――えっ?」
「LDSの方に行くんだ 赤馬さん達に呼ばれてて… って言うか」
「――嗚呼そう じゃあ 昼食代あげるわね」
明日で イイよ.
そう.
「これは…?」 あら「もしかして茜さんの」
p.5
えぇっと…「修理できる職人さんが居るんだって」職人って言い方でイイのかな
あら「本当?」
「腕 怪我した時に壊れたでしょ 修理したら… 僕の腕も 少しは改善するかもとかって言う話になって…」試しに
まぁ「本当!?」 あ でも「タダじゃないわよね… 待ってて もうちょっと お小遣い あげる」
p.6
はー「まぁさか ジュニア止まりのお前が あの二人に勝つなんてなー」
うーん
「そうだね… でも 最初っから 本気出されてた 訳じゃないし」 そうだな「出されてたら瞬殺だった」
「いちおう僕も… 実力自体はジュニアユースだと思うから」たまたま認定試験 受けてないだけで
p.7
「…… 切り込み隊長を 召喚」
「ふむ… 痛みや抵抗感は無いかね?」
「――はい」
腕 診せて.
どうぞ
p.8
「――良かったわ 陣君の腕が良くなって お祝いにケーキでも買おうか」
「いいよ そんな 大袈裟な…」
「……」
「クラス認定試験?」
「――ええ もうすぐ LDSの方で… ……」
p.9
「――必要ない あと2・3週間で高校生なんだ 其処でユース資格を取ればイイだろう」
「……」
「――陣君 コレ」
p.10
「――え!? どうしたんですか この受験票!?」
「いいからいいから お父さんには内緒ね♪」
「……」
僕には秘密が多過ぎる デジタル・ランサーズをしてる事 義理の父がデュエルをあんまり好きでない事
p.11
「……」
(現実の情報 公開してる人の方が少ないかな…)普通は.
シンゴ君と出会ったのは(約)10年前 幼稚園バスで隣に座って… カードを見せてあげたら 取られた
くれると思ったらしい
榊君を知ったのは… …… 数ヶ月前の前にも なかったかなって考えて
その2年前の舞網チャンピオンシップのジュニアの部で罵倒されていた子供が居た事を思い出した
p.12
沢渡君とは 小学校は別々になって 中学になって LDSで再会する事になったけど …まぁ 物の見事に 変わってなかった
榊君は… 行方不明の榊遊勝の息子だと 何時の間にか知ってたと言うか
榊遊勝の息子だと知って あの罵倒されていた子供の事 思い出して… それで納得したと言うか
p.13
テレビに映ってた姿を見る限り 2年前の面影なんて無かったから …漠然と強くなったんだろうと思ってた
――まぁ 弱さを見せない人だとは言わない でも決して 後には引かない もっと強く もっと先へ 進もうとする子
p.14
――沢渡君は何時も強い でも僕も結構 小狡いから 割と単純な処を利用しようだとか 考えなくもなかったりする…
そんな 実行できて ないけど
p.15
形だけはデジタル・ランサーズのリーダーに収まってる事で ひとまずはSINGO君を怖いと思う事は無くなった
…まぁ最近は 再び怪しくなってるけど
「リーダー」とか 本当にやっていて イイのかとは思う 実力だけを言えば 僕は二人よりも弱い筈
「年齢」って意味なら 零児さんの方が年上だし そもそもLDSをやめた身だし ……
p.16
何で僕が「リーダー」なんだろう 考えても分からない 実際 成り行きに過ぎないし 4月には辞めるかも知れないし
刀堂君は自分から 養成学校の見学(?)に来た 向上心の強い子だ
…… 少し偏見気味だったけど あの考え方はアカデミアに着いた時の僕の考えそのものだった
p.17
――出来ない 出来ないと 思ってた それじゃあ 駄目だと 思い始めた
権現坂君は現実で体が大きくて 背だけのひょろっこい僕とは違って 力も強そう
…だけど暴力を振るった処は見た事ない デジ・ランの中じゃ 1番真面目で正義感が強いと思う
p.18
ジュエルさんは現実を知らない 赤馬さんの前ではお茶目な処も在るようだ
デジ・ランの仕事振りについて言えば 真面目 …そしてLDGを より良くしようとアイデアを出してきた事が在る
…柊さんは ちょっと 複雑 名前ばっかりで テレビには映ってなかったから 当時の僕には 赤馬さんや榊君たちがしている事…
全くチンプンカンプンだった
p.19
…第一印象だけを素直に言えば 可愛くて… そして意志の強そうな子
この間のデュエルでは 果敢にも「覇王龍ズァーク」の居るフロアに挑んでいた
遊矢君じゃないけど あれは見ている方がハラハラした
一方で DAのヒメは お人形さんみたいだ 毎日 服を着替えて来る 着せ替え人形みたいに思ってるのかな…
現実とは別な意味で 可愛い
可愛いと言えばリリーさんも 現実は知らないけど 美少女アバター 千早ちゃんは野暮ったい
可愛いモノ好きなんだけど 自分自身がお洒落しようとか そういう処はまだ無いっぽい
p.20
…ホクト君は 多分 この前 プロになった子 他の何人かからは 格好付けって思われてる節が在るんだけれど
知的で冷静で 頭も切れそうって処は 話していると確かに感じる
冷静と言えば… 自分でそう名乗っているCOOL君
ま 自分で名乗る人って大概「COOL」じゃないんだけど 今の処は 名前負けと言う程 そぐわない行動はしていない
p.21
…現実じゃあ 刀堂君の ライバルだって 噂 そういう訳で 対戦させたけど… 大丈夫だったかな?
…榊君と赤馬さん以外は 合同受験を受けるって つい先週まで みんな頑張ってた
p.22
僕は… 受けるだけで合格する ジュニアユースの認定試験だったけれど…
プロ昇格テストに3人も残った(一人はホントに合格した)事を考えると
今更ながらに「リーダー」として もっと頑張らなければならなかったんじゃないかと 考えてしまう
――さもしいかな? でも この後悔が 今の僕を 駆り立ててる
…零児さんは __で天才だと知られている レオ・Coの社長… 若干15歳のプロ昇格者
p.23 【8.21.Tue.】
記録自体は 既に破られちゃったけれど それでも「あの」赤馬零児と言われる人には違いない
LDGを作った人 本当の意味での 僕達のリーダー
お飾りかな 今の僕じゃ でも 飾られるだけの実績も付けたい
p.24
はーっ 一息.
…ハミングさんは 先週入ってきた人で って言うか 入れてもらった
直接会った事は無いけど 小森江さんのお姉さん …クラス試験は受けていない
だけど 高校生だって話だから
デジ・ランのリーダーを決めた時の条件で言えば それそのものを 僕と替わられても おかしくなかった訳で
…まぁ 暫時隊員だって事で やってないけど
p.25
…僕も4月には ゲーム機を返さなくっちゃならない 月のお小遣いじゃ足りないし 前借するのは気が引ける
――母さんはよく お金をくれる 父さんは心良く思ってない 当然だけど.
…何時か 返さなくっちゃいけないよな 育ててもらった恩と一緒に それを考えるとデュエリストより
地に足の着いた公務員の方がイイんじゃないかと思えてくる
p.26
――デュエルは好き でも それを 「職業」にしたいかと言うと ちょっと 違う
お金を稼ぐ為に デュエルして デュエルして 稼いだお金で 生活して
榊君家とか… まさにそういう生活をしている筈だけれど 実際はどんな感じなのかな
…あんまり「その為」にデュエルしてる感は見せてないから
p.27
…好きでデュエルを職業にしている ――って言うか デュエルを見せるのが好きなのかな
実際 そういうタイプの プロデュエリストみたいだし
…他の人達を喜ばせる為にデュエルをする あ うん 今の僕には ちょっと無知
「……」
p.28
イベントなんかで 一時的に盛り上がる… ってくらいなら イイよ でもそれを「生活」の一部にするぐらい 毎回?
うーん 今いち 想像が つかない
――他の人を 喜ばせる お礼にお金が もらえるほど
もらう事 前提で デュエルをする
見る人が 満足できるデュエルを
| (…あんまりデュエル 強くないし
デュエル見てる人が どうこうだなんて…
そんなに 興味ないんだよな 僕は) | |
p.29
デュエルを見て 楽しみたいって人が居るなら それは好きにすればイイと思う
お金が欲しいとか 褒めてもらいたいから デュエルをしている訳じゃないし… 其処までのデュエルをする気も無いしね
――趣味と言えば ただ それまで 自分が やりたい事を やってる
デュエルに関わる仕事には就きたい だけど デュエルだけをやるだけの… その事自体を生活の第一に考える
そういう話はピンと来ない
p.30
…… DMの世界は凄い 赤馬さん達は それとRSVで現実を塗り変えようとしている
…… 僕もその流れの中に居る筈だけれど 実質 役に立ってるか どうかと言えば 違うんだろうし その辺は 話 聞くだけ だもんなー
…今回の企画は榊君と柊さんのデュエルの為 同じ塾の生徒なんだから 其処ですればいいって感じだけど それを別の塾の会社がバックアップするのは変… って言う事で
p.31
先週 凄い事やっちゃって その10日前がオープニングイベント… その前の週末に宣伝用企画
そんな訳で 今週も何か 企画をやりたかったと言うのが レイジさんの意見
《いい機会だ 出来る範囲で やれる事は この際 全て 試させてもらおう》
そんな訳でま_大規模とはいかなくても 中規模クラスのイベントが開催される事になって
ヒメさんの言っていた通り… デジ・ランの「訓練」とは 掛け離れた感が無くもないけどね …素直に 隊員内大会かなぁ
後はレイジさんの言うテストとか
p.32
フィールド魔法の内部にAステージを作り… その中にAフィールドを展開する
非独立フロアに成るよう プログラムを作った これであの3人が不自然に思われる事は無い》
…… 榊君は デュエリストとしては 応援しているツモリだけれど 現実での付き合いは ちょっととか 考えてしまう事情の子
最初のウチはそう言う訳で… 実は距離を取ろうとした でも僕が 他の人に絡まれた時
…最初に助けようとしてくれたのは 榊君だった
p.33
…その彼が今 問題を抱えている 力に成ってあげたいな …2年前は見物者の席で見てるだけだった
「あはははは アハハ ははは アハハハハ…!」
p.34
2年…と数ヶ月前の舞網チャンピオンシップ 野次だらけの中 その子は突然 笑い始めた ――そうして みんなを黙らせてしまった
結局 デュエルには負けちゃって 後から 変な奴とか 噂してる人も居なくはなかったけれど 正直 僕も思ったし
…でも最後まで泣かなかった あんなに泣きそうだったのにさ
p.35
…知らない人に怪しまれて デュエルそっちのけで アレコレ詮索されるのが嫌 SINGO君とか放っとけとか言ってるけど
2年前の彼を思い出した僕としては… 素直にそれには賛成できない
――その気は無くても 秘密が在る 「自分」を剥がされる 恐怖は知ってる
「…陣君 この封筒 なぁに? Dアカデミアからって…」
p.36
「嗚呼… 受験要綱 ホントに来たんだ」
「――?」
「8月だって まだまだ先だね」入学式 9月かー
「プロデュエリストの養成学校!? 陣君 やっぱり プロに成るの!?」スゴーイ
「ま まだ 考え中だって…」あくまで資料 取り寄せただけだよ(嘘)
えー?
プロデュエリストに成る気は無い ただ 今よりかは 強く成りたい 今居る立場に 見合うだけでも |