とっぷ壊殻の海ノ物語遊戯王BrowsingU


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#026.金曜日の夕べ/土曜日、デュエルアカデミアへ

p.1 【2017.11.22.Wed.】
「ふぅ―― ずいぶん時間が掛かっちゃった
 全くあの『シュシュ』って奴 降参サレンダーしないんだったらせめて 自爆してくれればイイのに」コッチは早く帰りたいって時に 全く

「ただいま――っ 嗚ー呼 15分もオーバーか」 ←LDGディフェンダーはサイドデッキに戻る
「1度出動すると 戻るまで任務完了になんないから そのまま帰る事は出来ないって言うのは面倒かもねぇ」

p.2 
「…ジュエル …… フォースが心配していた」 ←近くに来られた手前 話し掛ける

「でしょうね そっちに報告してから帰るわ――と」

「ジュエルさん デュエル お疲れ様です」
「…リーダー こんな事で持ち場を離れないで下さい」
大丈夫ですよー(でも戻る)

「アラームでなく自主出動だったそうですね ケン君とホクト君は気付かなかったって言っていました」交代する時に

「ええ 現実リアルで言う処の『厳重注意』のつもりだったので スグに帰れるだろうと思って二人には言わずに行ったんです」

p.3 
「此処広いですからねー チェック作業してるだけのメンバーの時は
 大声出さないと 隣のメンバーには聞こえないだろうし」でもスグ戻ってくる気なら 確かに言う程の事ではないし

「帰還後も僕が必ず この部屋に居るって保証は無いですしね――… でも大丈夫ですよ ジュエルさん」

「『LDGディフェンダー』から『ナビゲーション』を使って行けば
 『此処から行った』って事がプロバイダの方に自動報告されます」コンピューター仕掛け
「…そして無事に戻ってきたかどうかも レイジさんにはちゃんと分かる
 『LDGディフェンダー』には そう言った機能も在るんです」機能と言うか 役割と言うか

p.4 
「そうか―― 出勤カードみたいなものね だったら どんなにオーバーしても ちゃんと戻ってくるよう心掛けないと」
「――はい」

「…… 音無しでソリッドビジョンの様子だけ見てましたけど ずいぶん長く掛かっていましたね」
「ええ… 何でも『遊勝塾』の新入生に『榊遊矢』がLDGディフェンダーの事を教えているらしくって」 ←する事も無いので自分も見る

p.5 
「おや…」 うーん「それはちょっと ですねーぇ」
ええ「お陰でデュエルが長引きました 向こうにしてみれば4バトルフェイズの差かも知れませんけれど」
ちょっとの違いじゃないですねー
5回も攻撃させるの大変だったんですよっ

「…… LDGディフェンダーは あくまで移動に便利・必要だろうから モンスターカードにしてあるだけだそうです
 『移動力』を変える事が出来るのもそういう理由で」

「そ…そうね 普通のデュエルで使えないのも あくまであのカードが『デジタル・ランサーズ』の仕事用に作られたからだし」
「――はい このカードでデュエルしようなどと思うな …それがレイジさんの言葉です」

p.6 
「分かったわ… 『LDGディフェンダー』に頼らないよう
 あくまで『デュエル』は自分の力とカードで勝てるように心掛けます」
「――はい」

「それと… レイジ様に進言して欲しい事が」
「――はい」
「あのプレイヤー 大通りの人が多い処を モンスターで通り抜けようとしたんですよ」 ←ジュエルの判断では そう見えた
「しかも移動力3000というスピードで」

えーと それ「時速180キロに相当する筈ですよね
 『デュエル』中なら種族や周りの状況に合わせて変化しますが 危なっかしいなぁ」そうじゃない場合は
…はい

p.7 
「それで思ったんですけれど… 現実リアルの車道と歩道みたいに
 モンスターの走れる処と そうでない処 分けておいた方がイイんじゃないでしょうか」

「……」
「あの大通り かなり広いですけれど そういう区別が無いから 今後もああいう事 起こると思います」
ただの暴走バカも居れば ホントに急ぐ人も居るだろうし
「その事 レイジ様に 言って欲しくて」

「分かりました レイジさんにメールで伝えておきます …他には?」
「………… 遊勝塾の生徒の仕業だったっていう事は 話の流れで分かっているでしょうから 特に無いです
 彼にはちゃんと注意しましたし」

p.8 
はい「分かりました… じゃあ 自由にしていてイイですよ 尤もスグ終了時間のようですが」
「――はい このままログアウトさせて頂きます」今日の処は

「…ジュエルさん 僕にそんな畏まる必要 無いと思うんですけど」
「…すいません なんだか其方の丁寧語に引きずられて」
そうですか?

「――何にせよ あんまりそうギスギスしないで
 そうだ 学校の風紀委員ぐらいに考えていれば 『デジタル・ランサーズ』って言うのは 丁度いいと思います」
「…… 分かったわ」

p.9 
「…… 同じ『リーダー』って呼ぶ人でも ジュエルさんと他の二人では ずいぶん違いますねぇ」あの二人は タメ口にする.

「…… 俺達も『リーダー』と呼んだ方がイイのか?」 ←上がりに来た
「いえ別に ケン君とホクト君の二人は… 呼び捨てと敬称付のけ間で ああ言ってるって感じ」
そうか

「…呼び捨てって言やぁユーヤの奴 現実リアルじゃお前の事 『権現坂』だよな… 柊柚子や赤馬零児の事は 呼び捨てにしてるのに」

p.10 
「…柚子とはほぼ 赤ん坊の頃からの付き合いらしいからな」親同士が知り合いで
「赤馬零児は 向こうが呼び捨てにするようになった事も在るが
 それに加えて赤馬零王が居たから 名字では呼ばなくなっていったのだと思う」同じ「赤馬」では区別が付かん
嗚呼

「俺の場合は… 確か幼稚園の頃は 先生が呼ぶのに合わせて『昇君』だったな」ニュアンス的には「のぼるくん」
 僕も上がろうっと
「小学校に入って ある時 アイツから話し掛けてきてな」体育の時で… 女子ゆずが居なくて
 のぼるくーん 一緒に行こー ←周りが知らない子ばっかりだったので自然 知ってる方に向かった
「その時に名前で呼び合うようになった」
 昇で いい
 じゃあ僕も 遊矢で

p.11 
「…ところがある日 俺の家の方に誘って連れて行ったら
 道場の門下生たちが 俺の事を『昇君』『昇君』と呼んでくるのに気後れしたらしくてな」 ←年齢的には当時「のぼるくん」だった
 みんな年上だったし あと家が大きかったとか 親父殿が怖そうだったとか 色々ある

「それまで仲良くしていたのに急に距離を取られるようになった …呼び方はまぁ 教師や他のクラスメイト達に合わせたんだろう
 暫く『権現坂君』になった」あと柚子の親父さんや遊矢の母親にも言われたか

「付き合いそのものは さほど長くなく回復して… …何時の間にか『権現坂』と呼ばれるようになっていたかな
 ――嗚呼 担任の教師が変わったんだ」3年生だったかな
「その人に合わせて クラスの連中が 互いを名字で呼び合うようになった」それで多分 遊矢も

p.12 
「ふーん 呼び方にも歴史あり…って事ですか」
「…… 幼稚園の時からたぁ長いなぁ いわゆる腐れ縁って奴か」

「かも知れんな… 実際 遊矢や柚子の二人とは 一度しかクラスを違えた事が無い」
「ほーぉ?」
「だがその時期から お互い本格的に デュエリストを目指すようになって」丁度な
「お互い 遊勝塾と権現坂道場とを 頻繁ひんぱんに行き来するようになったのだ」
 
p.13 
「確か小学校6年生の頃か… それまでは割と 泣き虫で逃げ腰勝ちだった遊矢が グッと我慢して 耐えられるようになったのは
 …少なからず 道場ウチで鍛えた影響も在ったと思う」
「ふーん…」

「それじゃあ そろそろ… 明日は当番では会いませんが 3時過ぎにはやっぱりLDGに居ると思うんで
 …そういう訳で また今度」
嗚呼
応

p.14 
「ふむ… 珍しくSINGOが フォースに絡まないままで終わったな
 ま 奴も 意味も無くちょっかいを出す訳ではないという事か」ひとまずの分別は 在るようだな.

《遊矢の事も… あの時期により 絆が強まったと思うが》
「…… 気が付くと お茶らけるようになっていたな あの頃はもう少し 真面目だった気がするのだが」

あら「昇さん これから道場ですか?」
「…はい 母君殿 夕餉まで デュエル修行をしようかと」
それは良い心掛けです

p.15 
「ただいまーっ! 母さん ごはーん」

「お帰り ……

 夕メシが欲しけりゃ アン達に御飯 あげといで それから えーっと プランターの水やり」
はいはい

「終わったよ――… ――で? 今度こそ ごはんの用意 出来てる?」
「――そうだねぇ 後は 皿並べるの 手伝いな」
嗚呼

p.16 
「…明日 LDSの方に行くって言ってたねぇ いったい何の用事なんだい?」またDMB関係?

いや「零児達と デュエルアカデミアに行くんだ 俺に荷物 渡したい人が 来るんだって」
「ふーん …何?」
「さあ」其処までは聞いてない

「あと友達が 壊れているDディスクを 修理してもらいにも行く」
「ふーん」
「どうせなら 素良にも会えたらイイんだけど 其処まで長い時間 アカデミアの方に 居るかどうかは 分かんない」

p.17 
「…… デュエルアカデミアってぇのは 父さんの過ごしていた 別の次元の一つに在るってトコだよね」
「――嗚呼」
「知り合いの赤馬零王も居るんだっけ ……ソイツと素良くん以外には アンタに荷物あげるような 思い付かないんだけど」

んー「行ってみれば 分かるさ」
「…… 気を付けとくれよ 3年前みたいに いきなり 行方不明になられるのは御免だから」
分かってるって

「帰り掛け そのまま 遊勝塾の方に寄ってくから 家に帰ってくるのは 5時前って事になるのかな
 そしたら デジタル・ランサーズの当番 6時まで 1時間ぐらい やって終了」

p.18 
「ふーん じゃあそのあと 学校の宿題をやって」
「ぐっ」
「6時半に夕食… って処が妥当なのかね」明日のスケジュールは

「土日は宿題 多めだから――」まぁ 普通の日も 終わって ないけど 「30分じゃあ 終わらないと思う」
「別に7時からでもイイよ」夕飯
そんなー

「まぁ 聞きな 明日 父さんが 帰ってくる事は 知ってるだろ」
「――嗚呼」
「時間が夕メシぐらいの頃になりそうなんだって どうせなら みんな一緒に 食べたいじゃないか」

「――嗚呼――… そうだよな 父さんが 帰ってくるんだ…」何日ぶりだろう

p.19 
「母さん 父さん 何時 帰ってくるの!?」
「…… 正確な時間は分からない けど多分 夕食ぐらいの頃になるって」
そっか!

 【ii.23.Thu.】
「父さん 父さん っさっぶりー♪」
《…凄いハシャギようだねぇ》
《一緒に風呂入るとか 言い出すんじゃ ないだろうな》

「そんな事は流石にしないけど でも会ったら話したい事 いっぱい在るなー
 DMBの事 LDGの事 デジタル・ランサーズの事」
《…全部 DMB関係じゃないか》
まぁまぁ

p.20 
《…… デジタル・ランサーズの話をするなら… 1回ぐらいは出動経験が在った方がイイかも知れない》
《そうだねぇ このままじゃ失敗談ばかりだし》
う…

《LDGに出る悪い奴をやっつけるんだろ!? それなりにカッコイイ話だよな》ヒーローだぜ!
《行ってスグ逃がすだけの場合も在るらしいけどね》被害者が無事なら

《思うに… 遊矢 デジタル・ランサーズの仕事には

 EMエンタメイトとは別のデッキを作った方がイイんじゃないのか》

「…… EM以外のデッキ…」
《…そうだ》

p.21 
《あれは緊張感が無い… もとい 華やかな表舞台のショー向けに作られているカードばかりだ
 デジタル・ランサーズの仕事は寧ろ 一般プレイヤーの知らない処で その安全を守る… 裏方と言えば裏方の仕事》
「……」

《闇に紛れて悪を討つ… ――と 言う程ではないかも知れないが 俺の「幻影騎士団ファントムナイツ」はそういう事に向いていると思う》
あっ《何ちゃっかり アピールしてやがんだよ 俺の「SRスピードロイド」も混ぜろ!》
《闇に潜むなら「捕食植物プレデター・プランツ」だよねぇ》
それは寧ろ 悪役な気が

「分かった… …… 「魔術師」を中心にデッキを組んでみよう それで入るようだったら 他のカードも入れるよ」
 エクストラデッキは みんなのドラゴン 常備だけど

p.22 
《ある時は道化おどけたEM使い… ある時は魔術師デッキのLDG業務員! しかしてその実態は!? …って奴だよなぁ》
「えーと …… ただの『ユーヤ』を其処に持ってきてイイんだよな?」
それもEM使いじゃねーの
そう だけど

《「ユーヤ」と言えば… 「流れ星ユーヤ」の顔も在るんだよねぇ 一応》
嗚呼「さりげにLDGのRデュエル・ランキングで トップをずっとキープしている」
「母さん… …… 凄いと褒めるべきなのか それとも呆れるべきなのか」
《俺は褒める!》スゲェと思うし
《僕は呆れる》
《…まぁ デュエルの腕は 相当だと》

p.23 
《何時か Rデュエルして みたいよなー》《「ユーヤ」同士じゃあ出来ないけど》
《「シュシュ」でやる気か?》
《現実リアルも在りって言えば在りだ》
「いや それは ちょっと」

《…… 遊勝塾にもっと生徒たちが増えれば 貸し出されるDMBターミナルの数も増えるって 塾長が今日 言ってたよねぇ》
「…嗚呼

 けど実際は 俺がプロテストに合格したにも関わらず …遊勝塾の生徒は増えていない」
《…お前がペンデュラム召喚を初めて成功させたすぐ後 たくさん入塾希望者が来ただろ》
…嗚呼

p.24 
「あの時は Pカードの事 インチキだって…」
嗚呼「そう言ってみんな帰ってしまった それが公然とPカードが使われるようになって…
 其処でまた掌を返して『遊勝塾』に来るって事が 誰にも出来ないでいるらしいんだ」

「…… それって俺が居るせいで 遊勝塾に新しい生徒が入って来ない?」
い いや「其処まで極端な話じゃない ただみんな 今は来辛いって言うだけさ

 もっと大きく有名になれば きっとみんな昔の事なんか忘れて 遊勝塾に入ってくれるさ!」頑張ろう おーっ
オー!
「――で 夕方の ピエロアバターの記憶はなしに戻ると」
《思い出すのはもうイイよ》
《デッキ 組もうぜ》
嗚呼

p.25 
 LDS LEO

「――よう! やっと来たな榊遊矢」
「…あれ」

「刀堂刃 …何でお前が?」
「昨日 デュエルアカデミアに行くって言ってただろ? 面白そうだし連れて行ってもらおうと思って」どうせLDSは自習だし

p.26 
「…行ってもスグに帰ってくる事になるかも知れんぞ
 Dディスクを預けるだけになるかも知れないし 修理が済むまで待たされる事になるかも知れない」

「イイですよー どうせ3時まで暇だし」要は 暇潰し
ふむ「では 無闇に騒がずに 我々の傍を離れない事 …この点は榊遊矢も同じだ」
えっ あ うん

ボソッ「西小蔵さんには注意しないんだな」
《必要あると思うか?》
「…思わない」

では行くぞ 付いて来給え
はーい

p.27 
「…しっかし Dディスクを修理するだけで 世界的大企業を作った前社長様に会えるって言うのは 凄ぇ話だよなぁ」
うーん「現社長が目の前に」
「赤馬様が凄いって事は公然だろ」
まぁ…

えっと「古いデュエルディスクなんです それで昔のモデルを修理できるっていう赤馬零王さんに」
ふーん

「元々その古いディスクから新しいディスクを作って販売していた会社だからな
 君達が言う程 雲の上の存在ではないと思うぞ」私の父は
そうか!

p.28 
「…… このデュエルディスクは 小さい時 僕がモンスターに触っても危なくないようにって
 父が物置きから引っ張り出してきてくれた物なんです

 デュエルそのものをするって訳じゃないけれど 何も無い処に何か出てくる… ってだけで珍しかったんですねぇ」子供だったから
「…見えるのに触る事が出来ないっていうのも不思議で」ソリッドビジョンだったからだけど

「よく…と言うのか 時々と言うのか ともかく父がこのディスクで モンスターを召喚して 僕と遊んでくれていたんです
 今思えば 週1の会社の休みとか そんなペースだったんじゃないのかな」

p.29 
「時々…僕も カードを置いて モンスターを召喚したり Dディスク自体を持ったり 装備させてもらったり」でも大きいからスグ外す.
「…… そんなたわいのない思い出ばかりなんですけど けど壊れちゃうと思ったより… ……なんですねぇ」

ふーん「そんな思い出が在ったんだ 俺もよく父さん達の出してくれた(リアル)ソリッドビジョンで遊んでたけど
 Dディスク自体を触らせてもらって… って言うのは無いかなァ」ビジョン追っかけ回してたし

ちっ「羨ましい事 聞かせやがって 俺の親父なんか俺が物心ついた時からぐうたらで 酒と博打ばっかで あー…」
ともかく「お前らとは雲泥の差だぜ」
「……」

p.30 
「…… 刀堂の父親は とある中小企業の社長だったらしいのだが 事業に失敗したのか 突然働かなくなってしまったそうで
 そしてやがて飲酒やギャンブルが過度になり 別居する 刀堂の母親は彼を連れて離婚するというになった」

「まぁな… んでその頃から自力で『DMデュエルモンスターズ』を始めたんだ 何時かプロになって母ちゃんに楽させてやろうと思って」
「そうですか …いい話ですねぇ」
「嗚呼」

「…良くないぞ 店からパックを盗んだり 他の者に賭け試合アンティデュエルを挑んだりしていたそうだからな
 警察に捕まった事も一度や二度じゃないらしい」

「それでもデュエルの才能は確かだったので 奨学生という形でLDSに入学させたのだ」つまり学費は出世払いの予定
「…… 2年ぐらい前の話だったかな」
「応! 今度プロになるのはこの俺だぜ!」

p.31 
「…… 刀堂君はもうユースクラスなんですか?」
いや「今度卒業するのはジュニアユースコースで
 其処でジュニアユースコース卒業と ユース昇格が認められれば 次はプロテストを受ける権利がもらえる

 これまでは『卒業生』を出さずにユースクラスの方に再入学させていたが… …… 榊遊矢という前例を出してしまったからな
 刀堂 同じ日にプロテストも受けられる方がイイか?」
「当然!」

「…分かった 理事長の方に進言しておこう」
「やったぜ!」

クスクス「凄いなぁ… 君 舞網チャンピオンシップに出てた子だよね?
 後は学校やLDSの廊下で 時々見掛けた事が在ります」

p.32 
「そうか? 俺はアンタの事覚えてなかったぜ」
「……」
「今日だって その不自然な紙袋持ってなかったら 『デジタル・ランサーズ』のリーダーだなんて気付かなかった」

「…… 僕はいきなり声 掛けられた事の方がビックリでしたよ
 聞いてるうちに『ケン』君だって分かりましたけれど」そうか この紙袋で分かったのか

「そうか… 現実リアルじゃ初対面だったのか」二人とも 「それで分かったって凄いな 刀堂」
「まぁな… DMBとは 随分 見掛けが違うし」俺もだけど
「予め LDSのロビーで待ち合わせてる――って話を聞いてなきゃ 通り過ぎてたぜ」

p.33 
「そうですか… じゃあ刀堂君 ホントは今日は 普通にLDSの講義を受けに来たって事ですか?」
嗚呼「けど SINGOが言ってた通り自習ばっか サボったって構やしねぇよ」

「…… 欠席するのは確かに自由だが きちんと届け出ないと 単位が足りずに 卒業試験の話も 無しになるかも知れないぞ?」
「えっ あ… マジ!?」

「この『次元回廊』を抜けたら LDSの事務局の方に電話しなさい 番号はDディスクの方に入っている筈だ」

p.34 
「あっ はい… さすが赤馬様」
「良かったな 刀堂」
まぁな

「…… 『次元回廊』って言うんですか 以前デュエルスタジアムでのを 映像だけ見ましたけど
 LDSからも入れたんですね…」知らなかった

いや…「アーク・ファイブと ペンデュラム次元を繋ぐ『ワームホール』は舞網市の何処に開いてもおかしくない状態だった」
「ペンデュラム次元?」
「我々が今 住んでいる世界の事だ… 前はスタンダード次元だったが」
ふーん?

p.35 
「説明は省くが… 我々はつまり その『ワームホール』の存在をまず察知して そして此処が他の次元と繋がっている…
 即ち『アーク・ファイブ』である事を知り 無闇にワームホールが開かないよう 幾らかの処理を施した」

「…… どうして此処を『アーク・ファイブ』と呼ぶのかは 分かりませんけれど
 要するにレオ・Coの技術で『ワームホール』を閉じたり 好きな処で開いたり出来るようにした
 ――そういう事 なんですね?」

「嗚呼… 前はスグに行ける 次元転送装置などが在ったが
 どうやら一度『アーク・ファイブ』に取り込まれたせいで壊れたらしい 他に在った次元移動の方法も同様にな」

p.36 
「…… 其処が以前は『スタンダード次元』で 今は『ペンデュラム次元』だって言うんなら
 『スタンダード次元』から他の次元に行く方法は いっさい使えなくなるんじゃないでしょうか」

「――そうか?」
「出来るにしても チャンネルを合わせ直すみたいな処理が居る筈です
 1次元を2次元には出来ても いきなり3次元には 無理な訳でしょう」

「そうか… そうだな では後で再計測などを行わせよう そうすればまた 楽に他の次元と 行き来が出来る」

p.37 【11.24.Fri.】
「…… 凄いんですね レオ・Coの技術って
 『別の次元』って言うからには 現実世界リアル電脳ヴァーチャル空間ぐらいの差が在る筈ですよ
 これらも理論的には別次元同士の筈だし」

「ふむ… 次元回廊アーク・ファイブを作ったのは レオ・Coではないのだが」まぁ 無関係とは 言い難いが

「取り敢えず 『次元』が異なる二つの世界が在ると言うよりも
 一つの世界の中で ペンデュラム次元・融合次元・シンクロ次元・エクシーズ次元という 四つの小さな世界に分かれている
 そう考えていた方が正しい

 エクシーズ次元についてはそう ヴァーチャル空間に近いのだが…
 …… 自称未来人の名付けた言葉だからな カードの召喚方法以外に どのような差が存在するかは分からん」

p.38 
「…… 召喚方法の種類別… では別に地球人と異星人エイリアンぐらいの差が在る訳じゃなくって
 同じこの地球の別々の土地に住んでいる… 使うカードが違うだけの人間… という話になるんですか」

「そうだな だが同じ時代の人間かどうか―― と言うとどうも怪しいらしい
 その辺りも含めて今日は父に話をする …3人とも 今は西暦何年だ?」

「2017年」
「えっ… 2015年じゃなかったっけ 俺 丁度 2000年生まれで 今年15だし」
「……」

p.39 
「妙ですね… 僕も2017年と思っていましたが」
「…… 私は2020年だった 母様たちは2017年と発言している」

「…… それって明らかに変だよな」
「嗚呼」

「…… 融合次元の人物が 先日2003年と発言していた
 だからもしかしたら二つの次元は… ――そう思ったので確認し合いにも行く訳だ」

「…… 『次元』と一緒に『時間』も飛び越えて移動するなら それらを繰り返す事で 元の時代との時間が徐々にズレてくる…
 と いう可能性は 在りますよね」
「そうだな 榊遊矢よりは 私の方が『移動』の回数が多い筈だ」

p.40 
「…… もしかしてペンデュラム次元に戻ったら 俺達違う時代に着いちゃうかも知れないって事?」
「いや逆だ 『時間』そのものがまるで経たない 全く いや殆ど 経過していない 時間帯に戻る筈」

「同じかそれ以前の時間帯に戻ってしまう―― SFで言う並行世界パラレルワールドに移動した そういう事になるんですね」

「そうだな 尤もこの『次元回廊』については大きなズレは確認されていない
 尤も前回の通り方が Rデュエルでの謎の空間での『徒歩』ではない状態だったから それとは比較しようが無い訳だが」

p.41 
「ひとまず この先は現地時間の12時55分に そして帰りは舞網市での14時0分…
 午後2時頃に『ワームホール』を開くようにセットしてある」

「そうか… 結構歩いたと思ったけど 此処を出たらそうじゃない≠チて事になるのか …変わってるなぁ」 ←大元の原因に1番近い奴
嗚呼
「……」

「こういう処はつまり 時空や次元の『狭間はざま』に当たる訳ですから
 『時間』の流れ方自体が 外の世界とは 違ったり 存在しないと考えてイイと思います」
ふーん

p.42 
「…… 父さん」
「来たか零児 …… 何故 榊遊矢が居る?」

えっ…

(次元回廊のゲート)←いったん閉じる
「…… モクバ副社長の用件です 以前遊矢が他の者に貸していたと言うカードを
 海馬Coの方で預かっていたという事で ――今回の機に返したいと」
「そうか」

p.43 
「? 融合次元の知り合いに… カードを貸した覚えなんて無いけど」
「…… その件はモクバが来た後で 先に西小蔵陣 例の物を」

「――はい …… 此方です」
「うむ」

ふむ「表面の亀裂に プレート接続箇所の破損

 …それと電源が入らないようだな」
「――はい」

おお「それがSVのオールドタイプか」
「……」

p.44 
「この程度のモノなら 小1時間ぐらいで 修理できると思うが
 …… SV対応のままでイイのかね? RSVシステムに対応させる事も出来るが」

えっと「SVのままがイイんです RSVの方は別に持ってますから」
「…分かった」 では「預かろう」
お願いします.

「おーい! 零児 赤馬零王!」
「モクバ」
愚か者「様ぐらい付けんか」 申し訳ありません「倅が失礼を」



「イイって」 えっと「榊遊矢ってのは」
「俺」
「じゃあ コレ」
「……」

p.45 
「結構あるな れだけのカード やっぱり何処の次元でも貸した覚えなんて無いぞ」

「その点については 未来の君が 過去の人間に 渡したという 可能性が在る」
「――は? 過去?」
「此処は過去の時代らしいですから」

「『過去の時代』…?」
「その辺りの件も含めて話をしに来たんです 父さん 実は…」

p.46 
「兄様っ」
「――嗚呼」
「海馬瀬人社長 お久し振りです」
「――うむ」

p.47 
おお…「なんか今マジで異次元人つーか 別世界の生き物が来た! …って感じしたぞ」スゲェ ←珍獣を見る目
「兄様はエイリアンか」

「…頼まれた物を持ってきた 2000年代SVシステム対応のデュエルディスクだ」
「――はっ」 あ 零児 コッチ 持て「有難うございます」
「……」

「4月からデュエルアカデミアの生徒達に 新しい召喚方法を教えるという話だったな」
「――はい 融合召喚に加えて シンクロ・エクシーズ・ペンデュラムの三つです」

p.48 
「――?」

つきましては「それらを全てマスターしているプロデュエリストを2名ほど 此方に用意しておきました」
「えっ!?」

「これより講堂の方で 職員たちにデュエルを見せます 宜しければ御覧下さい」此方へ
「――嗚呼」

「えっ 何 俺 零児と デュエルするの!?
 聞いてない――って言うか 赤馬零王には呼ばれてない筈だよな 俺!?」

「黙っていろ 意外に空気が読めないのだな榊遊矢」
「……」

「『榊遊矢』…?」
「嗚呼ホラ 舞網市でのプロモーション・デュエルに出てた
 星佐門がカードを渡されたって言う『未来のデュエリスト』の一人さ」

p.49 
「……」

「あの時は おかしな事 言ってるなぁって 聞き流してたけれど もしかしたら本当の事かも知れないんだ
 まぁだから どうなんだって言われると分かんないけど」

「そうですね―― 未来の世界では タイムトラベルなど 既に日常茶飯事でしたから
 多少の誤差を気にする必要は無いと思います」
「――そうか」なんだか今 聞き捨てならない事を 聞いた気もするが

ボソッ うわぁ「アバウトなんですねぇ 確かに特に弊害が無ければ
 時間や次元がどれだけズレてたり増えてたりしても 問題ではないんでしょうけれど」
「……」

p.50 
「赤馬様 俺 何時 LDSの方に 連絡すればイイんでしょうか?」そう言えば

「そうだな… …… 父さん この先は一本道で 彼処に見える建物が『講堂』ですか?」
「――嗚呼」

「では先程のスーツケースを此方へ」
「……」
「西小蔵 このDディスクが装備できるかどうか試してくれ」
「――はい」

「終わったら二人で追い掛けてきてくれ 我々は先に行っている」
「分かりました」

「――? アイツにDディスクを装備させる…? その為にワザワザ古いタイプのSV仕様 持って来させたって言うのか?」

p.51 
いや「修理の参考にと持ってきてもらったのだが… ――零児 そもそもの詳しい説明を」
「……

 彼… 西小蔵陣は DMブラウザのテストプレイヤーの一人で」
「……」
「元々はDディスクによるデュエルをする事が出来ない ――という障害が在って 医療機関から紹介された一人です」

「……」

「DMBは体を動かせない者でもデュエルが出来るという事で 舞網市に在る医療機関からも 多大な注目を集めています
 実際 彼は Dディスクを使って デュエルをする事が 出来る程には 回復しました」

p.52 
「……」
「しかしまだ Dディスクを 直接 腕に装備する事が出来ない
 色々話を聞いてみて その原因がどうやら数ヶ月前に
 階段から落ちた事故で 腕と一緒にDディスクを破損したという事に在ると分かった

 そのDディスクが此方 現在ではもう 生産されていないタイプの物で
 それで父に修理を依頼する運びになったと 彼を今日 此処に連れてきたのはそういう経緯です

 しかし先程 海馬社長が壊れていないDディスクを持って来られたのを見て
 ――もしかしてコレなら装備できるのではと 彼も同じ事を思ったようです」

p.53 
「成程… 話は分かった」ククク「リハビリソフトとしての用途か それはいい DMBのマーケットがまた一つ広がる」
「やったね 兄様!」

「…… 障害者か 体力の無い者や体を動かすのが苦手な者でもAデュエルを楽しめる
 そんな出発点だった筈だが ずいぶん話が飛躍しているな」
「……」

「別にイイだろう ただ あのDディスクをもらうと言うなら 代金5000円は払ってもらうぞ」
そうですね「修理費は多分 2000円だな」

「……」それは 西小蔵 次第です

p.54 
『――はい レオ・デュエル・スクール 事務局です』
「ジュニアユース・シンクロコースの刀堂だ 今日の講義は欠席する」
はい 承りました

(※到着から約10分後)

「――良しっ コッチの方はコレでOK …… ? 何やってんだ ボーッと突っ立って」

「そうですね 其処の段差にでも 腰掛けさせてもらいましょうか」
「……」そういう問題か?

p.55 
「……」

「何やってんだよ 早くしねぇとデュエル始まっちまうぜ? アイツらはアイツらで見物のデュエルするんだから」

「そうですねぇあの二人のデュエルですし あの様子だと 全ての召喚を恐らく行うでしょうから それは見逃せませんよねぇ」
「……

 だーから 何で早く開けねぇんだよっ グズグズしてると 間に合わねぇって言うのに――」

「……」

「――ほら コレ着けるんだろ 早くしろよ」
「……」

「――なぁーに ノロノロしてんだよ 着けるだけなんだろ 早くしろって」

p.56 
「え?

 ――へ? 西小蔵 おい ちょっと 待てー!!」

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p.1
 ……、自滅?

p.2
 出動したんです、の方がイイかも

p.15
 …此処は漢字の方がイイんだろうか。

p.33
 電話しろかし給え、かな

p.34
 陣の場合、テレビやネットの中継で見た可能性の方が高いんだけど。

p.36
 作業でも

p.37
 ん〜〜、DMかSV(って言うか海馬Co)関係は「バーチャル」で、それ以外は原稿のままでイイ、のかなぁ……
 (忘れないとイイケド)

 現実の(物質)世界と電脳(エネルギー)世界も『次元』が違うと言えば違う世界で、寧ろコッチの方が次元差は大きい。
 その上で、現実の世界が融合・シンクロ…の小さい次元に分かれているッて構造なんだけど分かりますかね??

p.39
 …可能性が在るも何も、『次元』という言葉自体が『●次元時空間(の世界)』の略
 ただ(『移動』時における)時間のズレ自体は同じ次元世界の内部で元々存在していて、数秒間〜数十日間分の時差は
 普通 気にせずに(徒歩〜乗り物で)空間移動している、と言うノが人々の現状。
 (ツマリ『乗り物』による時間短縮自体が(次元)時空のズレ(=次元差)を生み出してるンだけど、
  全体的には一つの大きな空間(=地球上)の事なので 特に問題視されてナイ。)

 ……、『次元(dimension)』と言ウのは『長さ・大きさ』って意味で、
 その意味では様々な物事同士で『次元の差』は存在スるんだけれど、
 例えばアリとキリギリスの差、飛行機に比べての徒歩と自転車使用の差、なんて言うノは
 差が小さ過ぎテ誰も『別次元(同士)』の事だナンテ捉えない。――そういう事。

p.43
 …実際の刃はもう少し目上を意識して敬意を払うタイプらしいので、こういうシーンはカットになるかも。
 (その分 出番も減る訳だが)

 ――と、思ッたケド 割と其の無遠慮さでストーリーを動かしてる処も在るノで微妙。

p.47
 陣のDディスクは1999年製なので、正確に合わせルとシたら此方★

p.49
 …実際は不明 この話の中ではそういう設定で☆→零王が元居た世界

p.53
 大幅に、と言えるかは怪しいので修正★

p.54
 …音声読み上げでは7分、沈黙や瀬人が来た時の間とかを合わせれば 約10分で変更なし。←自分用メモ


 …公式や後で出て来る設定と、合わなくなるようだったら修正★






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