とっぷ壊殻の海ノ物語遊戯王BrowsingU


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#012.童実野中高デュエル倶楽部/デジタル・ランサーズ結成

p.1 【2017.10.16.Mon.】
「竜崎!

 また部室に漫画雑誌なんか持ち込んで」

「ええやんか たまたま漫画が載ってるデュエル雑誌やねん」コレは

「イイから隠せ 足下ろせ! クラブ初日から取り上げられたくはないだろう」
「へいへいーい」

p.2 
「去年からの人は久し振り! 新入生は初めまして! 僕がデュエルモンスター部の部長 3年1組 熱川あたかわぶんです」宜しく!

「早速ですが自己申告 皆さんのデュエリストレベルが初級・中級・上級のどれかを教えて下さい」
「上級」
「上級」
「中級」
「中の上」
「…中級?」
「上の下」

よしよし「初心者は居ないようですね
 ではこのまま5月の地区大会 7月の全国大会に向けて 頑張っていきたいと思います
 では次 副部長 影入かげいり君の挨拶!」

えー こんにちは

p.3 
「――まぁったく なんで俺が部長なんか」

「ワイか影入が部長やったら アッちゃん逃げて 数減ってうやん」

「…いっぱい入ってきたじゃんか」
「何人残るか分からへんし 保険や保険」
僕も副部長じゃなきゃ逃げてたけどねぇ

「僕達は大丈夫ですよー♪ 先輩」
「おーおー良く来た戸蔭とかげ弟 それに土口つちくちやったのう」

「戸蔭兄ちゃんは元気かー?」
「進学しました」
「そら そーや! 土口は子分 出来たかー?」
「…… 弟が一人」
「家族やんけー!」ハッハッ

p.4 
「…漫才部か此処は 先に帰るぞ」
あっ「なに言うとんねん」

「ハァイ皆さん御注目! 此方が童実野町のDMバイヤー 2年3組 羽蛾節夫 時期部長でーす」

「去年の入部希望者を 一ヶ月半で自分以外の全員追い出した猛者ですねん 全体で4分の3は減ってもうたし…」
…… 嫌味かそれは」

「いやいやお陰で少数精鋭 去年の地区大会は ワイらで上位頂きました」
「…… 2位3位だった3年生が抜けたから 今年からお前らにもチャンスは在る」
はーい♪

p.5 
「…そして昨日の敵は今日の友」フフフ「気付いてはりましたか おっかさん

 去年の地区大会 第4位! 『千田せんだ百合ゆり』ちゃんが新入部員に居た事を!」Yearーー
 千田百合 スピードデュエルが嫌いです

「地区大会… 要はこの地方一のデュエリスト・ガールっちゅう事や 我が部の華になりそうな予感
 引いては『羽蛾軍団』 初の女幹部誕生や!」

へへっ「僕も今日から その『羽蛾軍団』の幹部なんですよねー♪」
「そういうこっちゃ さぁボス! 早速その手腕をコイツらに見せてやってんか」
「……」

p.6 
「…なぁにがボスだ 調子のイイ ボスをこき使う組織だなんて聞いた事ないぞ」
いやいや「肩叩きしますねん」
要らん

「…… レベル4圏で追加召喚の出来る奴が出されてる 爬虫類族だが要るか戸蔭」
「どれどれ…」 あ ハイ現物交換トレードお願いします」
嗚呼

「土口は水属性のデッキだったな この魔法カードなんかどうだ」
「…… レベル3は少しキツイ このカードで少し負かして」レベル2効果
「…やってみる」

「その辺にしておけ 見張りが来る」
ただの用務員だろう
「続きは外でやりまひょか」
「…嗚呼」

p.7 
 ――2時間前 童実野中学校

「良く来たな 此処が童実野中学デュエルモンスターズ・クラブだ!」

「入口『視聴覚室』って書いてあるよ?」
せーな「普通の教室の学校ところだって在んだよ」それに比べりゃマシだろう

「普通の教室なら机動かして広くしたり出来るけどー」
「そうよねぇ Dディスクでソリッドビジョン出してデュエルをするのは難しいんじゃない此処」
やかましい!

ハハ「その時はその時で移動するけど この部屋の設備ならカードの説明をするのに丁度イイんだ …お久し振り 星佐門君」

p.8 
「…お久し振り 2年1組担任 世界史の織田おりたみのる先生」

ふふ「その力も健在なようだね 其方の二人は――」
「知ってます でも理解してくれてる」

「そうか 説明も要らないみたいだ 助かるよ」

「…… 昨日の人と似たような事言ってる 偶然かな その人も 試すように ボクに心 読ませてた」

「…ま 不気味がっていても始まらないしね 実害が無いと分かると好奇心が出てくるモノだ」
ふーん

p.9 
「それじゃあ今日から始めるよ デュエルモンスターズ・クラブ 略してDM部 或いはDMクラブって言う人も居るね

 デュエルモンスターズって言うのは対戦型カードゲームの一つで
 アメリカに在るI&Iインダストリアル・イリュージョン社が約9年前に発売した 製作者はI&I社 社長 ペガサス・J・クロフォード

 日本でも徐々にブームに成っていって
 3年前 立体映像リアルソリッドビジョンシステムを導入した 海馬コーポレーションがデュエルリングやデュエルディスクを製作
 更に専門学校デュエル・アカデミアを創設してその知名度を一気に上げた」

p.10 
「…… 海馬Coはこの町に本社を置いている その辺は去年赴任してきた先生より 君達の方が詳しいんじゃないかな」地元だしねー

「それじゃあ君達の実力を知る為に 今から10分ぐらいのテストをするよ」 はい「筆記具以外カバンにしまって」
えーっ!?



「…酷いやモクバ君 筆記テストが在るだなんて聞いてないよォ」
ハハッ「悪い 忘れてた けど直前まで佐門に気付かせなかったって言うならあの先生大したモンだぜ」

p.11 
「佐門さんテストどうだった? 私80点ぐらい取れると思うの」
「あたしも〜」

「…… 良くて30点ぐらいかな」1問10点の10題テスト「書き込んでないから50点以上はまず無理」
「あら」

「僕さぁ公式大会出た事ないし
 構築済みストラクチャーデッキも買った事ないからルールブック読んだ事ないんだ」ルールブックがそれに入ってる事自体は聞いてるけど
「…ほぉ」

「レジェンド・チャレンジの時はシステムが勝手に処理してくれたし そのあとは友達が教えてくれてたし」
「…… そういや意図的かどうかは知らねぇが
 レジェンド・チャレンジに貸し出したカードは全部取り除いてあったな」まぁ1門入る方が確率的に難しいか

p.12 
「知らないカードの事なんて― 名前だけで効果も何も分かる筈ないよ!」うわーん
「わめくなガキか」

「――ふん 3年前の栄光と地位に甘んじて 実際は一切修練を積んでこなかった怠け者という事か お気楽だな」

「金沢!」
「…君が去年しでかした騒ぎ 忘れたとは言わせない 人数合わせって事で許すけど 今年は僕達の邪魔しないで」

p.13 
「佐門さん いったい何やったんですかぁ?」
うーん「佐門さんがやった訳じゃないのよ」

「…去年の地区大会の直前にね この中学校でカードやデッキの消失・盗難事件が頻発したんだよ」
「…… 盗難?」

「犯人だと疑われていたのが佐門君 DMクラブに入れなかった腹いせだって
 大会の後に彼の鞄から無くなったカードが出てきたんだ 勿論その間 カードが無かった生徒は地区大会に出られなかった」

p.14 
「…… 個人で参加していた奴も居るが 殆どはこのDMクラブの部員だったから それ以来 恨まれてるっていう訳さ」

「ふーん 何でそんな事したの佐門さん」
だぁーら「ソイツはやってない ハメられたんだよ」真犯人にさ

「星君という生徒を見てれば 人の物を盗んだりするような性格でない事は自然と分かる
 ただ彼には人の心を読めるという力が在る そのせいで彼を見ず 距離を取る者の方が多かった」

「その一方で全国大会 …デュエルアカデミアの生徒のデッキが途中で紛失する事件が起こった
 対戦の前には見付かったみたいで何とかなったらしいけど
 …犯人は同じアカデミアの別の生徒で でも ソイツは知らないやってないの一点張りだったんだ」

p.15 
「……」

「その話を聞いて ウチの地区大会の時と似てるって思ってさ
 色々調べてる内に 羽蛾の野郎が交換屋トレーダーやってて 佐門のカードを狙ってるって事が分かってきた」

「…… 亜白龍オルタナティブ?」
嗚呼「コイツがそのカードを持ってる事は有名だったからな 何とか事件に関する証拠を――ってトコだが生憎まだ見付かってない」

「あぁら そんな事やってたの てっきり私と佐門さんのデートの邪魔をする事しか考えてないと思ってた」
「それはお前らが変なトコでデュエルするのをやめなかったからだろ!!」
…変なトコ?
言葉の綾だ

 【10.17.Thu.】
…… うるさい
うーん

p.16 
「去年の地区大会の入賞者は インセクター羽蛾こと羽蛾節夫君の通う学校の上級生だった
 更には他の学校でも 去年・おととし 似たような紛失事件が起こっていた」

ボソッ「兄さん…」

「佐門 お前羽蛾が犯人だって事 目星は付いてるんだろう」
「付いてるけど そんな事考えながら僕に近付いてくる訳じゃないしあの人」その時 考えてるのは 亜白龍の事で
くそー

「…モクバ君には話したけど 羽蛾君も僕の昔の生徒の一人なんだ」小学校教師やってた頃
「家が金持ちなのを鼻に掛けててねぇ カードを見せびらかしては他の子にそれを隠されて…
 なんて事件がたびたび在った」大概 犯人は上級生だった

p.17 
あっ そーか「オリタ! 思い出した! 節お兄ちゃんが居た小学校のカードゲーム部の先生!」
ん?猪苗代いなわしろさん知り合い?」
「フィアンセですっ」
「…従姉妹だってよ」

「この人がお兄ちゃんにDMを教えたのよっ んでお兄ちゃんは 花美に教えてくれたのっ!」
「…… 羽蛾が小学生の頃って何時だ?」
今 高2だから
「5・6年前の話かな」小4から小「6年生の時には僕 別の学校に行ってたから

 童実野町に来てからは まだ会ってないんだけどねぇ
 …… 自分の方がそういう事をする立場に回ってる…かも知れないのか」
「回ってるんだろ」
でも証拠が無いし…

「――彼 一応この学校の卒業生に当たるのよ 2年の途中で転校してきたんですって
 放課後のレジェンド・チャレンジに参加する為に」
うはぁ

p.18 
「凄いねお金持ち 僕んちは丁度 2学期に変わる時期に越してきて」正確に言えば夏休みの終わり
「それで何か近くで凄いイベントが在るって聞いて行ったんだけど」学校から帰ってお母さんに聞いて 面白そうだから行ってみた

うふ「其処で私とも初めて出会ったのよね」
うん「月子ちゃん達には色々教えてもらった!」有難う
「…… その時にDM始めたって話は本当か?」
「うん」本当だよ

「そっか… 此処に居る奴らは大なり小なりレジェンド・チャレンジに参加してた連中だ
 お前の事も亜白龍オルタナティブの事も既に知ってる」
けどまぁ「納得し切れてない奴も居るみたいだな」さっきの奴みたいに

p.19 
「ふぅーん 色々煙に巻いているのねぇ お兄ちゃん」
《でもケーサツに捕まったりするとか嫌だから 真犯人ならこのまま逃げ続けてもらわないと》
「花美ちゃん 協力する気 ゼロだね」事件解決に

「…それはさておき テストの採点 終わったから 返そう」
「う゛っ…」

「猪苗代さん 50点」
えー?
「海馬君 100点」
当然
「金沢君…」

うー「上がらず下がらず 30点」予測から
「使うかも使われるかも分からないカードの事なんて 覚える訳ないよーっ!!」デュエルのその時に見ればイイじゃん!

ハハ「このテストは先生が君達の実力を測る為のものであって 君達が100点を取る為のものではないんだよ
 例え0点でも気にしなくていい」
「…ホント?」
嗚呼

p.20 
「ただし分からなかった事を分からないままにするのは駄目だ 出来る限り早く調べて確認する癖を付ける事」

ほら其処「ルールブックやカードカタログ置いてあるから」

「…うん 分かった」

えーと 最初の問題はー


「…織田さん ちょっとイイかしら」

「理事長」

「LDS第一期生 卒業テストの件 …考え直して頂けたかしら」
「…… 生憎ですが」

p.21 
「あのゲームが実際には十数年前の物だったという話なら 些細な事です 気にする必要は在りませんわ
 …良いものであれば人々はそれを受け入れる 始まりなど忘れてしまう」

「…… そういう問題ではないのです」
「あら では 何?」 
「ソリッドビジョンは危険です 覇王龍ズァークの出現の事は 貴方もまだ覚えている筈」

「ええ… 次元統合と分裂とが起こったあの件ですわね でももうズァークの悪の心は消えました
 零羅もホラ よく笑うようになったし」
貴方も笑うようになりましたな

p.22 
「…だから そういう問題ではなくて …そもそも実体映像技術リアルソリッドビジョンさえ無ければ
 覇王龍の出現も次元の分裂も起こらなかったと思いませんか?」
まぁ「そうですわねぇ」

「リアルソリッドビジョンは危険だ その子が赤ん坊になった事… 貴方は随分と平然と受け止められているようですが」

あら「全然平然じゃありませんわ」私の責任ですもの 「ですからこうして肌身離さず わたくしが面倒を見ているのです」
「…… 赤ん坊に成った事に抵抗感は無いのでしょう」
「それの何がいけませんの?」この子は無垢な存在に戻ったのです
「……」

p.23 実体映像技術リアルソリッドビジョンは思ったよりも現実に強い影響を与えている」
「…?」
「その危険性を私は説いているのです この世界はもしかしたら――」


「織田さん ちょっとイイかしら」

「…… 赤馬理事長

 何度も言っておりますが …… LDS内を赤ん坊を連れて歩き回るのはおやめ下さい」
「だっての責任ですもの それにこの子 生徒達がデュエルしているのを見ると 喜びますのよ」

「……」

p.24 
「そうそう LDSの卒業テストにDMブラウザを使用する件 なんとか考え直して頂けないかしら」
「…… 生憎ながら」

「貴方の性格の事ですもの 次の機会にDMBをLDSのイベントに導入しようと言っても反対なさるでしょう?」
「…… まぁ」

「ですから私も此処で折れる訳にはいきませんの あのゲームが実は十数年前に発売されたという話なら
 些細な事です 気にする必要は在りませんわ」
「……」

p.25 実体映像技術リアルソリッドビジョンは危険です …あれは覇王龍ズァークを生み出した」
「知っていますわ でもRSVリアルソリッドビジョンが真実悪いという訳でもなければ
 真の意味で零王さんにその責任が在ったという訳でもないでしょう」

「……」
「零王さんは自分がズァークを生み出してしまった事を気に掛けてらっしゃったそうだけど
 技術は常に進歩しています
 例え零王がやらなくても 何時か誰かがRSVを生み出し それをDMに導入する

 遅いか早いかの違いです 出来ると分かった以上 人はその進歩を止める事は出来ない」
「…… それが禁断の木の実でも?」

p.26 
「アダムとイブの『知恵の実』ですか?
 それが本当に禁じられたものであるなら 人類はとっくに絶滅していてもおかしくはないのではなくって?」
「……」

「既にもう RSVは在るのです これから先どんどん この世界に欠かせない物になっていくでしょう
 私達LDSは そんな新時代の先駆けとしてのレオ・Coと共に 新たなる世代のデュエリスト達の育成を――」


「…… またか」ちょっとウザい 「果たして私だけの現象なのか それとも他に被害者が居るのか」

「織田さん ちょっとイイかしら」LDS第一期生 卒業テストの件ですが
「……」

p.27 
「…うわ なんかまた随分変化してる」
「ホント」

「母様… もといLDSの理事長との相談の結果 レオ・Coのエリアである事を全面的に押し出す事になった」現実とほぼ同じビルだ
ふーん

「1階がサポートセンター兼モニター・シアターに 2階から暫くがLDSの生徒専用フロアになっている」来い
「…… 暫くって?」
「今 最後の調整中だ」

p.28 
「わ…」「広い…」デュエル出来そう

「此処がLDGタワーの最上階 デジタル・ランサーズの本拠地だ」
「へぇ…」
冷静に見ると何も無いわね

「このあと会議用のテーブルなどを配置する予定だが その前に新規メンバーが居るので紹介しよう
 尤も既に顔なじみの筈だがな」

p.29 
「戦士族中心 X−セイバー使い」
「ケン!」
「地属性のジェムナイトデッキ」
「ジュエル」
「セイクリッドデッキ 及びエクシーズ主体」
「ホクト」

「最後の4人目はー?」
「ボケるな馬鹿 SINGO様に決まってんだろーが」

へへへへ
駄目よからかっちゃあ
話長そうだから

「一人当たり平日には1時間 休日には合計3〜4時間ぐらいのノルマでローテーションを組もうと思う
 一時いちどきに3人ずつぐらいで…」

p.30 
「決定の前にヒメの意向を聞こうか …デジタル・ランサーズ LDGの為に参加してくれないか?」

んー「…そうねぇ」

「やろうぜ柚子っ みんなでDMBのプレイヤーを守るんだ!」

本名呼ばないでよ

何だアイツ

「LDGのユーザーって言うのは… この舞網市が中心なのよね?」
「嗚呼 他の地方には他のプロバイダが居ると聞いている 市外からの登録者が居ても 近隣地域に収まる筈だ」

「そっかー… なんかクラス委員の役目を押し付けられる時のような嫌な予感しかしないんだけれど」
「はぁ? なぁに変な心配してるんだよ!」
「フッ…」

p.31 
「――昔から 遊矢と二人で日直だの飼育委員だのになると 大概あたし一人で仕事すんのよ」
「う゛ッ…」

「やる前にはやる気あるような事を言うけどスグ逃げるんだから!
 レイジ! 本気でこんな奴をデジタル・ランサーズに入れる気なの!?」
こんな奴って何だよ

「心配ない 榊遊矢の学校での素行が悪い事ぐらい 既にレオCoは調査済みだ」
「調べるなよ」そんな事

「数万人から数十万人にも上るDMBのエリアユーザー達を 数人から数十人程度の小組織で守り切れる筈も無い
 では何故デジタル・ランサーズやオシリス・アームズのような組織が存在するのか?」

p.32 
「幾つかのエリアを 更に調べてみて分かったが この手の組織は主に そのエリアにおけるトップデュエリスト達で成り立っている
 他のプレイヤーからは一目置かれる存在という事だ」
「……」

「そのような者達が自分達を守っている―― と考える事で 大概の人間は恐怖が薄れ安心感を以ってDMBを楽しむ事が出来る
 デジタル・ランサーズの真の存在意義は其処だな」

「ん… そうか頑張る!」
「だぁーから本当に大丈夫?」
「…… 心配はないと言った筈だ」

p.33 
「『榊遊矢』は舞網市有数のデュエリストだ 形はどうあれ現在最も市民達の間で人気が在る
 だからデジタル・ランサーズに入れる DMBの売り上げの為に」
「……」

「プロモーション・デュエルに参加させた以上 此処でユーヤとヒメをLDGから失うような訳にはいかない
 多少の事には目をつむってでも LDGの宣伝塔として役に立ってもらう」
「……」

ちょっと「ユーヤやあたしの事 利用する気?」
「けしからんぞ!」
「ビジネスだ 君達が居るというだけで DMBを始めるプレイヤーは多いだろう
 逆ならつまらない 楽しくないものと 判断して 敬遠する」

p.34 
「……」

「私はともかく父様や母様はLDGの開場を心待ちにしている」気がする
「母様などはLDSとの連動企画を次々と立ち上げる入れ込み様だ
 …… 私としてもレオ・Coの更なるビジネス拡大のチャンス 易々と逃すツモリは無い

 …私と母様は赤馬零王への復讐の為にレオ・デュエル・スクールを牛耳り
 表向きは彼が作ったレオ・Coを守り裏ではランサーズ計画を進めてきた …… 父の野望を止める為に」

p.35 
「…母様は気丈な人だから 私の前でも一度も弱音を吐いたという事が無い
 恐らく怒る事でしか 悲しみを表現出来なかったのだろうと思う

 …泣いたら涙が止まらなくなって 悲しみの海に沈んで動けなくなって 結局 父の処へは行けない

 進むしか無かった あの頃は 母様も父様もただ 自分の大切な事の為だけに」

p.36 
――本当の事を 僕達はどれだけ知って此処に居るのか

「…父さんはずっと帰らない 母さんは零羅にかかりっきりだ …些か拍子抜けする程に 父さんの事を忘れている

 …… あの頃の事は何だったのか ズァークが消えて全て終わったと思っていた
 零羅が普通の赤ん坊のように笑って 柊柚子が無事に ペンデュラム次元に戻ってきた」

p.37 
「……

 それから榊さんがいきなり出て来て 遊矢とデュエルをするのかと思ったら
 ジャック・アトラスがバトルロイヤルを宣言したりして」
「応 あれ 俺も 参戦したぜ!」
「俺もな」
いーなー

「…確か5分ぽっちでスタジアムの閉場時間が来ちゃって SVソリッドビジョンシステムが止まってみんな家に帰ったのよね」
「嗚呼うん 榊遊矢のプロ試験した日の事だよな 要点が良く掴めないけど」

「…… 私と父はバトルロイヤルが終わった後 何時の間にか離れ離れになっていた
 どうも父は途中で退去していたらしい 私が気付いたその時には 既にスタジアムには影も形も…」

p.38 
「…… 零児?」

「…… 私は狂ったように父を探した
 頭の中では色々な事が いや父と会って話そうと思っていた事が 次々と浮かんでは消えていった」

p.39 
《柊柚子の事はもう良いので?》
《…嗚呼 既にもうレイへの執着は無い 在るとしても私にはもう何も権利は在るまい》もうでなくて最初から…

《大丈夫だ レイはシッカリした子だったからな 柊柚子も余程の事が無い限り 此方が心配するような事は在るまい》

…それは 想像の筈なのにリアルで

「…… 私は仕方なく家に帰った 母様は既に休んでいて 私も倒れるように眠った」

p.40 
「――後日 私は次元移動装置でアカデミアの方に向かった
 父は当たり前のように其処に居て 他の者達と何やら忙しく立ち回っていた」

「…… アカデミアがエクシーズ次元にしでかした事は分かっていたし
 それを償おうとして父がエクシーズ次元に行くのは分かる …シンクロ次元にもな
 そしてまたアカデミアに戻ってきて…」

p.41 
《父さん いったい何時 家に帰るツモリなんですか 母さんが待ってるんですよ》

「…いったい何を言われたのか 私はもう覚えてない 聞きたくなかったのかも知れない とにかく父は帰ってきてない」

「……」

 【i0.18.Wed.】
「…あの男を動かすには結果が要る 研究者気質だからな 自分の興味の無い事には無頓着だ
 だがまるで人の目を気にしないという訳でもない」

p.42 
「DMBターミナルが発売されて …多くのユーザーが私の許に集まってくれば
 …… 父はそれなりに満足してはくれるだろう だがそれだけで帰ってくるほどくは無い
 『クラブ・イン・アカデミア』の例を見れば良く分かる」

――彼処は あの生徒達はまるで僕の

「DMブラウザの事 父はそんなに深く考えていない そもそも上からの話を私に持ってきたのだからな
 だが今 父と話す機会は 図らずもDMBに関してが多い」

p.43 
「…ズァークやレイ 榊遊矢と柊柚子に関しては まだ少し気に掛けているような処は在る
 …だがいずれ話す事は尽きるだろう」増えられても困る

「レオ・Coの事は私や部下に任せっきりのようだし」興味あるんだったら返ってくる筈だし
「アカデミアの事も仕事としては色々と忙しく働いているようだ それを私に話すような事とは考えていない」

p.44 
「――そうか そもそも海馬Coが 父をアカデミアのプロフェッサーに任命したまま解任しないのが原因なのか」
 せめて休みくれればイイものを…
「今 気付くな」

「…… そういう訳で海馬Coを動かすには結果が要る」
「お前の父じゃなかったのか
「幸いモクバは協力的だし 母様も話した通り乗り気だ」
木馬?
あーなんか 海馬Coの奴
「…既にDMBターミナルは業者から各店舗へ搬入され ユーザーへの発売を待つのみの状態となっている  プロモーション・デュエルにも舞網市の市民が大勢集まってくれた 今さら彼らの期待を裏切るような事は出来ない」 p.45  「…私の『エリア』は このレオ・デュエル・グラウンドはもう動き出してしまった  明日には正式公開オープンを控えている」 「幽霊エリアだの『流れ星ユーヤ』のアジトだの 妙な噂が流れ出している為 予定を早く繰り上げた  週末開始で派手なセレモニーを企画しておきたかったのだが仕方が無い …君達の仕事も明日から始まる」 p.46  「……」 「先日のプロモーション・デュエルに参加させた4名 結果論ではあるが君達が『デジタル・ランサーズ』に成ってくれる事が  …… 我がLDGレオ・デュエル・グラウンドに多大な貢献をもたらし 逆なら損失を与えるだろう」  プロモデュエル参加者が その時限りでは 商品の内容に説得力が無くなる 「私には―― LDGには君達の力が必要だ 父をギャフンと言わせるという 少々個人的な理由が一つまるで無いとも言わないが」 「いやそれが最大の目的だろ」少々どころではないわ p.47  「君の立場は小規模デュエルスクールの経営者の娘だから  最大大手であるLDSレオ・デュエル・スクールの更なる拡大に手を貸す事は 難が在るという事は分かっている」 「…… ホントに分かって言ってんの」 「…… 私にはこれ以上並べるべき言葉が思い付かない」 充分 喋ったくせに 「どうかデジタル・ランサーズに参加して LDGの1ユーザーとして 私に協力して欲しい  柊柚子」 …いや「美しき怪物ストロング・ヒメ」 p.48  「ぷっ」 ギャーッハッハッハッ 「何で其処でオチを着けるの 本気で頼む気 在るの貴方!?」 ん?「語感はイイと思うぞ 『美しき怪物ストロング・ヒメ』」 「呼ぶな!」 アハハハ 「ユーヤ! アンタ言い出しっぺのクセに何 大声で笑ってんのよ」 いやー「レイジの口から改めて聞くとおかしいと思って」ヒ― ウケるな! 「…… なんか馬鹿馬鹿しくなってきた  弱小デュエル塾の娘だからレイジ様に協力できないって言うならさっさとそんなトコ潰せ」 そうよ「イイ迷惑だわ」友達やめるわよ. うっ… 「…話が此処まで来た以上 抜けるのはどうかと思うぞ柚子」無理強いしたい訳ではないが そーだぜ「あのプロモーション・デュエルのクエスト 作ったのはお前だろう」 「ヒメさぁん…」 p.49  「やろうぜヒメ! プロモ・デュエルで見た沢山の観客の事は覚えてるだろ あんなに大勢の人が待ってるんだ!」 「ユーヤ…」 「俺だってまるで素人じゃあない ビジネスとして宣伝塔や広告塔が在る事ぐらい知ってる  それだって立派に『仕事』なんだ」父さんもよく客寄せのイベントデュエル引き受けてたし 「…沢山の人が必要になるし 沢山のお金がいっぱい動くだろう事も分かってる  それでももうDMブラウザは 俺達の遊び場になっているんだ」 「……」 p.50  「これからもっと人が来る もっともっと来て欲しいし楽しませたい  その為なら俺 何でもする ズァークもそう思っている」 「ヒメさぁん あたしヒメさんとデジタル・ランサーズやりたいですぅ その為にデュエル頑張ってるんですからぁ」 ん…「うん 分かった」仕方が無いわね 「…… 覇王龍ズァークが広告塔か あのデカさなら確かにアドバルーン要らずだな」 「嗚呼」 うん えっ「お前らズァークの事 何だと思ってんの」 p.51  「ナスビ色の超巨大型ドラゴンだろ?  世界を滅ぼそうとした事はともかく 純粋なDMのカードとしてなら俺様のコレクションに収録してやってもイイぜ」 「俺も」使うか使わないかは別として 「ブラウザカードに在るんでしょうか そう言えばオリジナルであるマスターカード ユーヤ君 あれ どうしました?」 「まだ持ってるの?」 「いや… 気が付くとウチに帰ってたし 暫くはズァークの事も忘れて」 「俺らもだな」ランサーズの事 次元戦争の事 p.52  「…だけどこの前 ユートとユーゴ ユーリのカードが引き出しにごちゃ混ぜになってるのを見付けた  俺が置いていた他のカードと一緒にさ」 「何時から入ってたのかは知らないけど 見付けたのは丁度 DMBを初めてやって  …ゲーム機借りたあの日の事だ その前の2・3日 デッキいじってなかったから」 「……」 「あの引き出しのカード まだきちんと整理してないんだ  だからもしかしたら『覇王龍ズァーク』が使ってたカード その中に在るかも」 「探して来いよ」今 家 なんだろ 「けど…」 「俺その間に小便行ってくる」 「……」 「そうだな いったん休憩にしよう 5分程度で足りるかユーヤ」 「嗚呼」多分 ======================================== p.2  「ズ」が入ってないけど脱字なのか、違うのか。(保留★)  地区大会は6月じゃなかったっけ★ p.18  …佐門自身の設定はそうでも、書き手はある程度知ってた上でゲーム始めた訳だから、その意味じゃ嘘に近いかな。  テレビで試合を見た事は在る、実際にやるのは初めてだった、って感じ。 p.25  した筈、でも p.34〜  …後で適当に要約すればイイと思って書いた訳だけど、長いな(汗)  零児ならもっとちゃんと考えてから喋るんだろうと思いつつ、  彼自身が気付いてない感情を他のメンバーが気付くぐらいの情報量は要る。  ……どれだけ削れる??  (零王を動かすには海馬Coを動かさなければならない、とユー結論/判断は残シたい) p.35  不安とか、寂しさとか言い換えられそうだけれど。  語呂的にやはり「悲しみ」がイイぽい。(ただ次と被る…) p.37  …終電より少し前まで大丈夫かな。  翌日が月曜日なら夜通しではないと思ウ。 p.50〜  …この時期 ズァークの事(=次のデュエル)をやる事は決まってたので  やや話題転換が急だと思った人は気のせいじゃないです。    …公式や後で出て来る設定と、合わなくなるようだったら修正★





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