とっぷ壊殻の海ノ物語


長髪IF前奏(inユリアシティ@)



10:38 2011/03/15

 「俺は悪くねぇっ! 俺は悪くねぇっ! 俺は……」

 (――誰だ??)

 目の前に同じ顔が在る。

 鏡よりもリアルに、其処に在る。
 (平面的でなく立体的であるが所以に。)

 「レプリカ? ……そう言えば先生もレプリカって……」

 何だ、ソレは。

 「そうだよ! お前は俺の劣化複写人間だ。ただのレプリカなんだよ!」

 思わず目をつぶってから屈〈かが〉んだ。

 「う……嘘だ……! 嘘だ嘘だ嘘だァ!!」

 体が震える。

 何も見ない状態のままに――立ち上がり愛用の木刀を引き抜く。

 「……やるのか? レプリカ」

 ソイツが挑発的に言う――俺の身に湧き上がってくるのは、怒り。

 「嘘をつくなぁーーーっ!!!」

 ――有り得ない有り得ない騙されるものか!!

 俺達は同時に駆け出し、近付いた。

 「閃いたぜ!」「はっ」

 アッシュが剣を振り下ろし、俺〈ルーク〉もまた同じ動作で剣を降ろした。

 牙連崩襲脚――剣を振り上げながら飛び上がり、そのまま中空で蹴りを入れる。

 「うッ」

 呻いたアッシュが着地と同時、足許に譜陣を出現させる――、
 「閃光、墜刃牙!」「うッ」

 俺は其処に出来た隙を突き、アッシュの譜陣を掻き消した。

   +  +  +  +  +

 「烈破掌!」

 同時に繰り出し、飛ばされる。

 「俺は、お前なんかじゃない!」

 沸き上がる感情。

 「邪魔なんだよ! レプリカが!」
 「うるさい!!」

 また近付いて、斬り結ぶ。

 何度も何度も――ウザイムカツク、気味が悪い。

 「…………」

   +  +  +  +  +

 今度は先に駆け出した。

 「閃いたぜ!」

 飛び上がり蹴り入れ、右手を突き出す。
 「鷹爪、豪掌破!」

 「アイシクルレイ……」

 再び唱え掛けた処に打ち込む。

 「……お、俺がぁ……」

 ヒュッ――木刀が何も無い中空を斬った。

 アッシュが床に倒れたのだ。

 (ケッ、口ほどにもねぇっつーの……)

 ルークは床に刀の先を突き刺した。

 ――土でもないのに何故か『其処』に刺さるのだ。
 剣でもないのに、何故か刃物のように時折鋭くなる時のように。

 『……ソレも超振動の力だな』
 何時だかヴァンが言っていた。
 『無意識に元素を分解し、素材を再構成して強化しているのだ』

 ――慣れれば自在に操れるようになろう。

 お前は、選ばれた英雄に成るのだから。

 (先生……)

 ――全部全部、嘘だったんですか??

 (そんな事……)

 「うっ……」
 聴こえてルークは顔を上げた。

 アッシュが床に剣を刺し、片膝を付いて呻いている。

 「こんな屑レプリカに、俺が……!」

 反射的にルークは木刀を取り、握っていた。

 「コレじゃあ俺の家族も居場所も、っ……全部奪われちまう訳だ……。自分が情けねぇ……!」

 ……体が震える。

 ついさっきまで、自分がしていたソレのように――刃先が刺さる筈の無い床に刺さっている。

 (……奪われた?)

 ソイツ〈アッシュ〉の言葉を反芻する。

 家族も居場所も力も――技も??

 (さっき、急に『閃いた』のは……)


 ――頭痛が始まる。

 視界が段々とぼやけ出す。


 「ぁぁ……」

 唐突に彼は理解する。

 ――ソレは、『怒り』でなく『恐怖』であったのだと。


 「嘘だ……俺は……」

 オレハ ■■■■ ナンカジャ


 更にアッシュの姿が揺らいで――



 『ルーク』の意識は、真っ白に成った。


11:49 2011/03/15 12:06 2011/03/15 『ルーク:同調』
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 原作:「TALES OF THE ABYSS」のんびりプレイ動画part65の内容まんまデス。
 強イのは二週目だからなんですけど、心理状態を書くと結構綺麗に繋がったリ。
19:45 2011/03/27

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